覚え書:「今週の本棚・新刊 『フジテレビはなぜ凋落したのか』=吉野嘉高・著」、『毎日新聞』2016年04月17日(日)付。

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今週の本棚・新刊
『フジテレビはなぜ凋落したのか』=吉野嘉高・著

毎日新聞2016年4月17日 東京朝刊
 『フジテレビはなぜ凋落(ちょうらく)したのか』
 (新潮新書・799円)

 フジテレビに元気がないと言われて久しい。その要因を、会社の歴史や歴代の経営者、高視聴率番組を生んだ名プロデューサーらに触れながら考え、フジの栄枯盛衰を描く。

 フジは1982年から12年連続で視聴率三冠王を獲得、黄金期を迎える。その背景には、社内に「編成」と「制作」を同じフロアに置く「大部屋」の導入などで芽生えた仲間意識の強さがあった。しかし、70年代は経営合理化のために制作部門を社外に切り離す組織構造の改革で、民放キー5局の視聴率争いで4位に転落することもあり、「創立以来最大の危機」に直面していた。当時の状況は、お台場への本社移転によって「大部屋」が解体され、視聴率の低迷から抜け出せない現状と重なる。

 著者は86年にフジに入社。「情報プレゼンター とくダネ!」や「めざましテレビ」などの番組を手がけた。2009年に退職し、現在は福岡県の大学で教壇に立っている。

 「育てていただいた恩を今でも強く感じている」と著者。挑発的な書名やフジの現状に対する辛辣(しんらつ)な言葉には、思わずかつての勤務先との関係を勘ぐってしまうが、それらはすべて強い愛情がゆえだろう。(唯)
    −−「今週の本棚・新刊 『フジテレビはなぜ凋落したのか』=吉野嘉高・著」、『毎日新聞』2016年04月17日(日)付。

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