覚え書:「【東京エンタメ堂書店】もうすぐ参院選 選挙権を持つ君へ」、『東京新聞』2016年06月27日(月)付。

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【東京エンタメ堂書店】

もうすぐ参院選 選挙権を持つ君へ

2016年6月27日


 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた7月の参院選が近づいてきました。初めての選挙に戸惑う君、意欲的なあなた…選挙権を持った若い世代に読んでほしい本を、編集局からお届けします。
◆一変しうる日常示唆
<1>

 まずは、若者の政治参加の現場を取材する社会部出身の大場司編集局次長からのお薦め本を紹介。<1>冊目はフィリップ・ロス著『プロット・アゲンスト・アメリカ』(集英社、二三七六円)。「一九四〇年、もしもヒトラーの友人で反ユダヤ主義者のリンドバーグが大統領になっていたら…」という想定でアメリカ社会を描いた小説です。
<2>

 <2>冊目は、北野慶著『亡国記』(現代書館、一八三六円)。文芸評論家の斎藤美奈子さんも本紙特報面『本音のコラム』で推奨した小説で、震災と原発爆発に見舞われた日本の近未来を描いています。
 「いずれもフィクションですが『国家とは何か』を考えさせると同時に、当たり前のように思っている国家や社会がふとしたきっかけでがらりと変わることを示唆する作品」というのが、お薦めする理由です。
<3>

 また<3>國分功一郎著『民主主義を直感するために』(晶文社、一六二〇円)は、國分さん自身が自治にかかわってきた経験をつづった評論集で「『お任せ』ではない民主主義について考えさせられる」。
<4>

 <4>小田実著『世直しの倫理と論理』(岩波新書、(上)品切れ(下)八四二円)も「世の中をどうみるべきか、視点を与える。メディア志望の大学生にいつも推奨する」一冊です。
◆希望持つ勇気を胸に
<5>

 同じく、若者と政治の話題を追う政治部の金井辰樹部長のお薦めは<5>村上龍著『希望の国エクソダス』(文春文庫、七二四円)。ある日、集団不登校を始めた八十万人の中学生たち。経済の停滞が続く日本で彼らはネットビジネスを始め、政界や経済界に影響する勢力になっていきます。「『この国には何でもある…だが、希望だけがない』というせりふで有名な作品。若者に、希望を持って一つの目標に向かっていくという勇気を持たせる小説」というのが薦める理由です。
<6>

 「希望」をキーワードにもう一冊。<6>玄田有史著『仕事のなかの曖昧な不安』(中公文庫、六三七円)は「『希望学』で有名な玄田氏が、若者に対して自分たちの置かれている環境を論理的に書いた」本。
<7>

 また、今度の選挙では憲法が大事な争点の一つ。<7>東京新聞政治部編『読むための日本国憲法』(文春文庫、六八〇円)は「中学生、高校生に読んでもらいたいと思って書いた憲法入門書。文句なくわかりやすいと思います」。いささか手前みそですが、金井部長も執筆陣に加わり中学、高校での有権者教育の大切さや先進例などをまとめた『未来を拓(ひら)く模擬選挙』(悠光堂、一七二八円)は、「選挙初心者」の若者に向き合う教師や親にも読んでほしい本です。
 ◇ 
 皆さんの視点から見た今の日本に「希望」はありますか。希望ある未来へと国を導くのは、あなたの一票かもしれません。
    −−「【東京エンタメ堂書店】もうすぐ参院選 選挙権を持つ君へ」、『東京新聞』2016年06月27日(月)付。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/entamedo/list/CK2016080502100019.html


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