覚え書:「三十八年戦争と蝦夷政策の転換 [編]鈴木拓也 [評者]円城 塔 (作家)」、『朝日新聞』2016年08月21日(日)付。
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三十八年戦争と蝦夷政策の転換 [編]鈴木拓也
[評者]円城 塔 (作家) [掲載]2016年08月21日 [ジャンル]歴史
日本の歴史と言われると、近畿地方を中心とした風景が浮かびがちだが、しかしもちろん、日本列島全域には有史以前から人が暮らしていたのである。
本巻で完結した「東北の古代史」シリーズは、東北地方における最新の古代史研究をまとめたもので、各種資料を駆使して当時の社会の姿を再現していく。
この巻では主に、坂上田村麻呂やアテルイが登場する、朝廷と蝦夷(えみし)の戦いと、東北地方における自然災害が扱われる。九世紀は地震、津波、火山災害の多い時代でもあった。
シリーズを通して考えさせられるのはやはり、文字資料の重要さである。中央からの視点で記された資料と、発掘物が示すものをすりあわせる作業は非常に入り組んだものになる。
記録に残されなかった歴史もこうして、慎重に読み解いていくことは可能である。しかしここでどうしても、歴史を自分たちで書き残し、伝えることの重要性を思わずにはいられない。
−−「三十八年戦争と蝦夷政策の転換 [編]鈴木拓也 [評者]円城 塔 (作家)」、『朝日新聞』2016年08月21日(日)付。
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http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2016082100010.html