覚え書:「子どもと貧困 「子ども食堂」を支える:下 喫茶店、定休日においで」、『朝日新聞』2016年07月14日(木)付。

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子どもと貧困 「子ども食堂」を支える:下 喫茶店、定休日においで
2016年7月14日 
場所を提供し、調理もする喫茶店主の水野新治さん=岐阜県可児市
 
 無料か安価で地域の子どもらに食事を出す「子ども食堂」。公的施設が使われる場合が多いが、個人で場所を提供する動きも相次ぐ。調理のほか、いろいろな形で協力する人たちを紹介します。

 ■空きを活用、息長く

 岐阜県可児(かに)市の「可児子ども食堂」が月1回開かれる場所は、喫茶店「フィフティシンス」だログイン前の続き。店主の水野新治さん(65)が「寄付のお金はないけれど、腕で社会貢献できる」と、定休日の日曜を使い、5月に始めた。地元の調理師協会の副会長も務める。食堂の日には、水野さんの料理教室の生徒や仲間らが手伝う。ほかに子ども食堂を開いてくれる店はないか、協会で声をかけている。「月1回開催でも場所が増えれば、子どもが行く機会が増える」

 東京都杉並区の「まんぷくこども食堂」は居酒屋「風神亭」で開く。店は深夜1時までで基本的に無休。食堂は第3日曜の昼、午後4時の開店までの時間を使う。「月1回ペースで気負わず無理なく、長く続けたい」と店長の川上厚さん(43)。

 兵庫県尼崎市小林正義さん(72)は空き店舗の喫茶店を週1回、「そのっこ夕やけ食堂」に貸す。食堂を運営する一員の市社会福祉協議会園田支部から光熱費として月5千円受け取る。ふだんから小学生の下校を見守り、食堂の日は入り口で誘導。公園で遊ぶ子に「食べにおいで〜」と声をかけることもある。

 月6回、食事や勉強ができる和歌山市北部の居場所「こ・はうす」は、木造2階建ての民家。大家で町議の田代哲郎さん(74)が無償で貸している。自宅だったが、別に家を建て、空き家になっていた。学童保育や、市民らでつくる「子どもの生活支援ネットワーク こ・はうす」から協力を頼まれた。「自宅の傷み具合が心配だった。子どものために定期的に使ってもらえるのはありがたく、渡りに船だった」

 大阪市西淀川区NPO法人が開く「いっしょにごはん!食べナイト?」は、市営住宅を週1回ほど使う。空いた市営住宅を使った市の地域活性化事業に応募し選ばれた。3DKの家賃は通常の半額だ。子ども向けの相談室や文庫として使い始め、昨年から晩ご飯や宿題を共にする活動を始めた。

 ■献立・調理、学生担う

 京都市左京区の「あおいこども食堂」では、専門学校生や学生らが調理や遊び相手をする。京都府立大3年の駒井美保さん(21)は、地域と大学をつなぐ活動が格好いいと思って始めた。「私が楽しんでいます」

 場所は、精神障害者の就労支援施設として使われている民家。高齢者への配食をしており、調理場がある。施設長の細見正枝さん(74)が、元警察官でスクールソーシャルワーカーの匠輝雄さん(66)、民生児童委員などを務め、地域で顔が広い関谷滋さん(68)と始めた。学生らには、市の担当職員が声をかけた。

 東京家政大4年で管理栄養士をめざす草門史帆さん(22)は、東京都板橋区子ども食堂南蔵院(なんぞういん)こども会」のメニューを考えている。月2回、各60食分だ。カレーや肉じゃがなど人数が変動しても分量調整しやすいもので、限られたコンロ数で料理できるよう工夫する。「地域の食育が研究テーマなので、実践できて勉強になります」

 高知県南国市で月1回の「こども食堂ごめんこどもクッキング」を16日から始めるのは、中国・上海出身で主婦の朱洪青さん(36)。息子の保育園で知り合った母子家庭のママ友から「夜遅くまで働き、加工食品に頼ってしまう」と聞き、協力者を集めるため5月に説明会を開くと、約40人が参加した。

 その一人で小児科医の石本浩市さん(64)は、運営の相談にのる顧問役を引き受けた。これまでもネグレクトや朝ご飯を食べていない子を学校や保健師と連携して見守ってきた。「行政と連絡をとりあいながら、必要な子に情報が届くようにしたい」

 佐賀県嬉野市の「うれしのこども食堂・うまい」では、運営する社会福祉法人の職員が休みにボランティアで送迎のワゴン車を走らせる。会場から20分ほど離れた旧役場まで2往復。「車社会の地方でも、子どもが通えるようにしたい」と法人の食堂担当、熊謙次朗さん(35)は話す。

 (中塚久美子、河合真美江)

 ■こんなところでも開かれています■

 ラーメン店、バー、フレンチレストラン、市民会館内のレストラン、ドッグカフェ、廃校になった小学校、空き家、空き店舗、医療機関の交流スペース、介護・老人・障害者施設、トレーラーハウス、貸倉庫、病院の食堂、大学の学生食堂、保育園、児童館、寺、神社、教会、公民館など公共施設の調理室、集会所
    −−「子どもと貧困 「子ども食堂」を支える:下 喫茶店、定休日においで」、『朝日新聞』2016年07月14日(木)付。

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http://www.asahi.com/articles/DA3S12458879.html





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