覚え書:「ビジネス 人工知能は敵か味方か [著]ジョン・マルコフ [文]小林雅一(ジャーナリスト)」、『朝日新聞』2016年07月03日(日)付。

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ビジネス
人工知能は敵か味方か [著]ジョン・マルコフ
[文]小林雅一(ジャーナリスト)  [掲載]2016年07月03日

■マシンと人間の関係、決めるのは我々

 最近、世界的なAI(人工知能)ブームに乗って巷(ちまた)に類書が溢(あふ)れているが、本書はそれらと一線を画す。著者は米ニューヨーク・タイムズ紙のベテラン記者として、この10年以上にわたってAIや次世代ロボットの最前線を追い続けてきた。評者の知る限り、グーグルの「自動運転車」(2010年)や「ディープラーニング」(12年)など、今のバズワード(流行語)ともなっているAI技術を真っ先に報じたのは著者である。
 本書はそれらの取材記録を一冊にまとめたものだ。「AIの歴史」や「自動運転車」、さらには「グーグルのロボット参入」など包括的な内容だが、全体を貫く切り口は「(コンピュータやロボットなど)マシンと人間の関係」にある。昨今、「マシンが人間の雇用を奪う」との懸念が囁(ささや)かれているが、実はAI黎明期(れいめいき)の1950年代から、研究者たちは、マシンは人間を代替するのか、それともサポート(拡張)するのかを巡って2派に分かれた。
 しかし今日まで、その答えはなく、むしろ両派の対立は、ますます目立ってきた。となると最終的に、その帰趨(きすう)を決定するのはマシンや研究者ではなく、我々(ユーザー)であると本書は結んでいる。
    −−「ビジネス 人工知能は敵か味方か [著]ジョン・マルコフ [文]小林雅一(ジャーナリスト)」、『朝日新聞』2016年07月03日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/column/2016070300016.html



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