覚え書:「斎藤美奈子 書評委員が選んだ「2016年の3点」 [評者]今年の3点(書評委員)」、『朝日新聞』2016年12月25日(日)付。

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斎藤美奈子 書評委員が選んだ「2016年の3点」
[評者]今年の3点(書評委員)  [掲載]2016年12月25日   [ジャンル]
 
(1)ことばの地理学 方言はなぜそこにあるのか(大西拓一郎著、大修館書店・2376円)
(2)化粧の日本史 美意識の移りかわり(山村博美著、吉川弘文館・1836円)
(3)手のひらの京(綿矢りさ著、新潮社・1512円)
    ◇
 書評で取り上げられなかった本から3冊。
 (1)は方言の分布と伝達の過程を論じた、やや専門的だが楽しい本。東の「言わない」と西の「言わん」の境界はどこか。「言うだ」「言うずら」の本家はどこか。言葉は人を介して旅をし、定着するのだと納得。
 (2)は古墳時代−昭和末期の化粧の変遷を追う。白粉の白、お歯黒や眉墨の黒、口紅の赤という3色を基本とする日本の化粧に、肌色が加わるのは大正、青や緑のアイメイクが定着したのは戦後、などの指摘が新鮮。
 (3)は京都を舞台に三姉妹の恋愛模様を描いた綿矢版『細雪』。結婚願望は強いが奥手の長女。恋愛体質が裏目に出る次女。やがて京都を出る三女。四季の彩りに満ちた物語はドラマにもぴったり。いまなら早いもん勝ちだ。
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 『名作うしろ読みプレミアム』『学校が教えないほんとうの政治の話』を上梓(じょうし)。1月には岩波新書が出ます
    −−「斎藤美奈子 書評委員が選んだ「2016年の3点」 [評者]今年の3点(書評委員)」、『朝日新聞』2016年12月25日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2016122500003.html



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