覚え書:「悩んで読むか、読んで悩むか 自分で考え、自由になろう 石田純一さん」、『朝日新聞』 2018年02月18日(日)付。

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悩んで読むか、読んで悩むか 自分で考え、自由になろう 石田純一さん

悩んで読むか、読んで悩むか
自分で考え、自由になろう 石田純一さん
2018年02月18日

石田純一さん

■相談 息子が彼女といつまでも結婚しない

 32歳の息子の気持ちが分かりません。好きな女の子といっしょに住んで2年半以上経ちました。とてもいい人なので、先日、息子に何げなく「そろそろ籍を入れてもいいのでは?」と言いました。すると彼は何も言わないのです。私は困って台所へ立ち去りました。彼の本心が母親の私にはまったく分かりません。
 (北海道、主婦・64歳)

■今週は石田純一さんが回答します

 息子さんに幸せになって欲しい、相手の女性を「待たせちゃ悪い」と心配になる気持ち、お察しします。でもお母さん、「うまくいっている恋人同士は結婚して当然」なんて思っていませんか。少し落ち着いて。そもそも結婚って何のためにするのでしょう。結婚にリスクはないですか。もちろん結婚をしないリスクだってありますよね。常識や固定観念から離れて考えてみると、気持ちが少し楽になると思います。
 細谷功『考える練習帳』は「自分の頭で考える方法」を知るのに最適です。細谷さんは「考えることは自由で無限になること。思考を放棄した人は、過去や他人のことにとらわれる」としています。もしかしたら、相談者様は知らず知らずのうちに「結婚=幸せ」とか「2年半以上も同居したのだから、白黒はっきりさせるべきだ」という一般論を息子さんにも当てはめているのでは、と想像しました。人生の目的は幸せになること。幸せになれるなら、結婚しなくてもいい。こんな風に、自由に考えてみてはいかがでしょう。
 先日、5歳の息子とゴルフへ行きました。「良い結果を出すためにはプレー中は座らないのが鉄則」と話すと、「どうして? 野球選手はベンチで座るよね?」。「確かに……」。理屈を説明できませんでした。僕自身、気付かないうちに固定観念にとらわれ、思考停止になっていたと気付かされた出来事でした。
 息子さんは「何も言わない」ということですが、考えることを先延ばしにしている可能性も。ですから、お二人で本をお読みになって、意見交換するのも良いでしょう。
 悩み相談のコーナーなのに具体的なアドバイスをせず申し訳ありません。でも、もうお分かりですよね。誰かの助言を待つのではなく、息子さんへのモヤモヤを解消するにはどうすればいいか、息子さんとお相手の真の幸せには何が最適なのか、ぜひ皆で考えてみて下さい。そうすれば、相談者様ご自身の生き方も、きっと前向きで自由なものに変化していく。楽しそうだと思いませんか。
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 次回は詩人の水無田気流さんが答えます。
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■悩み募集は受け付けを終了しました。
 石田さんと水無田さん以外の回答者は次の通り(敬称略)。荻上チキ(評論家)、斎藤環精神科医)、壇蜜(タレント)、穂村弘歌人)、三浦しをん(作家)、山本一力(作家)、吉田伸子(書評家)。
    −−「悩んで読むか、読んで悩むか 自分で考え、自由になろう 石田純一さん」、『朝日新聞』 2018年02月18日(日)付。

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