日記:浮くものが好き=谷川俊太郎
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ふんわり浮くもの
谷川 ラジオは、だいぶあとですね。戦争ですったもんだで……。なんだろうねえ。やっぱり、小学生のころは、模型飛行機でしょうね(引用者注…好奇心の対象について)。
工藤 その話、ちゃんと聞いたことがない。なぜ好きになったのですか?
谷川 それはあんまり言ってませんね。要するに、浮くものが好きなの。
工藤 タンポポの綿毛なんかも?
谷川 そうそう。ぼくたちは重力にしばられている。重力のおかげで地球に生きているわけだけど、どうも重力の影響を受けないものが好き。それも、エンジンでガーガーいいながら飛ぶものじゃなくて、静かにふんわり浮かぶものが好き。トンボも静かでしょ。
僕自身が宇宙を飛んだのでいちばんいい経験は、熱気球ですね。バーナーが燃えるときはうるさいけど、止むとほんと静かになっちゃうんだよね。乗ったことなければ、いっぺん乗ったほうがいいと思う。たぶん好きになると思うよ。いまいっぱい気球クラブってあるからね。下の物音が聞こえるのがいいんですよ。
−−谷川俊太郎、工藤直子『ふわふわ』スイッチ・パブリッシング、2018年、235−236頁。
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