日記:武田清子『わたしたちと世界』(岩波ジュニア新書)が提示した課題。

尊敬する武田清子先生が今年4月に天に召された。数々の学術的著作に蒙を啓かれたことは言うまでもありません。

武田先生が1983年に編んだ中高生向けのメッセージともいうべき『わたしたちと世界』(岩波ジュニア新書)紐解きながら、「これからは、世界のさまざまの人びとが交わりを深め、たがいに働きかけあう時代…日本人としてのみなさんは、その“光と影”をも見極めることが大切」との指摘に深く頷く。

中高時代に読むべき一冊であると確信を深めている。

曰く、「私たちは、ややもすると、同じ意見の人たちだけで「閉じた集団」をつくりがちです。しかし、同じ考え方をする人からよりも、異なった考え方、異なった意見をもつ人のからのほうが、より多くのことを学ぶことができます。異なった考え方や対立意見をたたかわせ、比較・対照しながら、それらを統合するところに、新しい第三の道が創造的に開かれていくことがあるからです。…… 私は、二十一世紀の世界には、こうした自己規律をもつ、“開かれた精神”が求められているのではないかと考えさせられています」。
この1983の課題を僕自身も引き受けていかなければならないと思う。異なる他者から学ぶなかで、普遍的な叡智を日常生活世界に実現せしめていく努力を惜しんではならないのだろうと。