1冊読んでしまえ
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J.P. and I are on the front porch at Frank Martin's drying-out facility. Like the rest of us at Frank Martin's, J.P. is first and foremost a drunk. But he's also a chimney sweep. It's his first time here, and he's scared. I've been here once before. What's to say ? I'm back. J.P.'s real name is Joe Penny, But he says I should call him J.P. He's about thirty years old. Younger than I am. Not much younger, but a little. He's telling me how he decided to go into his line of work, and he wants to use his hands when he talks. But his hands tremble. I mean, they won't keep still. "This has never happened to me before," he says. He means the trembling. I tell his I sympathize. I tell him the shakes will idle down. And they will. But it takes time.
−−Raymond Carver,Where I'm calling from,Where I'M CALLING FROM : NEW AND SELECTED STORIES,RANDAM HOUSE,New York,1989,pp.278.
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現代アメリカを代表する短編の名手。レイモンド・カーヴァー(Raymond Clevie Carver Jr.,1938−1988)の名作選(I'M CALLING FROM : NEW AND SELECTED STORIES,1989)を先ほど、読了しました。
これで、カーヴァーの原著はだいたい押さえることができました。
日常生活でのささいな挫折や孤独感、かえりみられることない生活の「隙間」を鮮やかに描写する現代の作家は「カーヴァーをおいて他にはいまい」……などとほくそ笑んでしまうわけですが(苦笑)、なかなかたのしませてくれるものです。
先ずはありがとうございます。
ホント、カーヴァーの言葉は、ひとつひとつを彫刻刀の手作業で紡ぎ出したような感がなんともいえないんです。
邦訳もかなりあり、そのほとんどが村上春樹さん(1949−)によって訳出されており、こちらはほぼ完読。原著と比べてみてナニですが、村上さんの訳はその雰囲気をよく表現しているし、原著に忠実でもあるよなアなどと思っていたのですが、まあ、ここにきて、数年かけて原著を追跡していたことがひとだんらくしてしまって、なんだか名残惜しいような・寂しいような複雑な気持ちです。
少し時間あけてからまた紐解こうかと思います。
さて……。
ワタクシは英語教育(英語に限らず外国語教育全般)の専門でもありませんが、自分自身の体験からひとつだけ紹介しておきます。
外国語の文献を読むコツに関してです。
まあ、結論から言えば、これにはコツも王道もヘッタクレも存在しません。
どれだけ読んだかという物量作戦がない限り、ハードルをクリアすることは基本的に不可能です。
しかし、そんなことを言ってしまうと身も蓋もないというの事実です。
ですから、その初手の心得をひとつだけ紹介しておこうかと思います。
それは、「1冊読んでしまう」……というものです。
短いものでいいんです。
自分の興味のあるモノでいいんです。
先ずは何かを一冊よんでしまうことなんです。
だいたい、大学(学部・大学院含め)での授業なんかで扱う外国語というの抄本がほとんどです。よくて作品をひとつだけというところでしょう。
もちろん時間の制約がありますので、1冊をまるまる読むというのは難しいのも実情です。
※とわいえ、僕が学生の頃は、それを強引にやってしまうセンセも存在しましたけど、少数派でしたよね(苦笑
ですから、自分で何かを一冊よんでしまうことなんです。
それによって自信もつくし根気もつくわけですから……。
それを経て、大海へ泳ぎ出すことができると思います。
90分×15回(半期)の授業が畳の上での水泳の練習だとすれば、一冊を自分でとにかく読み通す(少しぐらい分からないところはすっ飛ばしてでも)ということは、プールでの練習というところでしょうか。
これをクリアすることで、海峡横断つうものが可能になると……これはささやかですが僕の経験則ですからすべての人にあてはまるわけではないのだけれども……思うわけですね。
ちなみに僕が最初に完読した一冊というのは、ウィリアム・サローヤン(William Saroyan,1908−1981)の「ヒューマン・コメディー」(The Human Comedy,1943)でした。
まあ、ものは試しにということで、どうぞ。
……などとやっている場合ではなく、今日は勤務校の一般入試の試験監督でしたorz
さっさと寝よう。
⇒ 画像付版 1冊読んでしまえ: Essais d'herméneutique