旨いもの・酒巡礼記:東京都・八王子市編「バーゼル洋菓子店京王八王子店(BRSSERIE BASEL)」

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 芭蕉が「わが門の風流を学ぶやから」(遺語集)ということをいっているが、風流とはいったいどういうことか。風流とは世俗に対していうことである。社会的日常性における世俗と断つことから出発しなければならぬ。風流は第一に離俗である。孔子子路、曾皙、冉有、公西華の四人の希望を尋ねたとき、子路は政治家として非常時局を担当することを志望し、冉有は経済界の立役者となって民利を計りたいと答え、公西華は官吏を希望する旨を述べた。ひとり曾皙は答えなかったが孔子の再問に対して「沂(き)に浴し、舞雩(ぶう)に風(ふう)し、詠じて帰らんといったので、孔子は喟然(きぜん)として歎じて「われは点(曾皙)に与せん」といった。風流とは世俗と断つ曾皙の心意気である。
    −−九鬼周造「風流に関する一考察」、『いきの構造 他二篇』岩波文庫、1979年、101頁。

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このところ月曜の授業が済んでからちょくちょく寄るのが、バーゼル洋菓子店の京王八王子店(「BRSSERIE BASEL」)。

洋菓子店ですので、西洋甘味とパン、それからヘルムート・ザッハースのコーヒーがのめる「カフェ」。

しかし、ビールも出せば、ワインもある。ビストロ風のメニューもそろっておりますので、昨年来よりちょくちょく利用するのですけれども、6月からサントリーのプレミアム・モルツの生ビールが通常500円のところ、おもてのテラス席限定ですが、そとでやるならば半額で頂戴できますので、授業が終わってから、帰る前に、ちょいとそこで「ぼけぇ〜」っとすることが定番となりつつあります。

何しろ3杯呑んでも750円ですからねw

だいたい、最初に生を頼んでから、じっくりと小皿料理(二品で400円)を選んで乾杯。

先日は、ヒヨコ豆のトマト煮と紫キャベツのマリネ♪

ほどよく煮込まれたやわらかいヒヨコ豆の甘さと、酸味の効いたキャベツのマリネのダブルパンチにプレミアム・モルツの呑み具合もすすむというものです。

前者は歯ごたえはしっかりあるものの、噛むたびに口蓋のなかでやわらかくとろけ、トマトソースがひよこ豆のしっかりとした味わいを引き立たせ、後者は素材がよろしいのでしょうか……、クィックメニューにかかわらず、シャキッと身が引き締まる鮮烈さに驚くばかりです。

ゴキュゴキュとビールのおかわりをお願いしつつも

17時前から、

「マターリ」と時が凪がれゆくのをしばし堪能。

時間にすれば、20分くらいでしょうかね。

これがココロの洗濯になるという次第です。

しかし、街をみやると、まだまだ活動タイム。

正直なところ、雑踏で忙しく立ち居振る舞うひとびとの姿をみるにつけ

「我ながら何やってんだか……w」

……って忸怩たる部分もなきしもあらずですけれども、

九鬼周造(1888−1941)博士が「風流とは世俗に対していうことである。社会的日常性における世俗と断つことから出発しなければならぬ。風流は第一に離俗である」と指摘するとおり、そんなことを気にしているようでは、「風流を気取る」ことはできませんね!

ですから俗世と関係をひとときたち、

ゴキュゴキュとやる次第。

9月まではこのサービスをやっているのでこれからもおせわになるかと思います。

いやはや(苦笑

料理もさることながら、店員さんのしつけも行き届いており、まあ、いい仕事、していますよ。

お近くにお立ち寄りの際は、是非どうぞ。


■ バーゼル洋菓子店京王八王子店(「BRSSERIE BASEL」)
東京都八王子市元神明町3-20-6 第一生命ビル1F
営業時間:8:00〜22:00
 土日祝:9:00〜22:00
http://www.basel.co.jp/index.htm






⇒ ココログ版 旨いもの・酒巡礼記:東京都・八王子市編「バーゼル洋菓子店京王八王子店(BRSSERIE BASEL)」: Essais d'herméneutique




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