書評:飯野亮一『居酒屋の誕生』ちくま学芸文庫、2014年。

飯野亮一『居酒屋の誕生』ちくま学芸文庫、読了。幕府の開かれた江戸は男性都市としてスタートし、居酒屋は非常な発達を遂げたという。「暖簾は縄暖簾と決まっていた?」「朝早くから営業していた?」様々な疑問に答える形でその実像と変化を追う好著。副題…

日記:八王子倫理学会?

水曜日は、通信教育部で教鞭を執っていたときの、受講生とかるく一献してきました。いやー、ひさしぶりにいい酒を酌み交わした時間を過ごすことができ、ありがとうございました。通信教育部は、卒業を勝ち取るためには、レポート作成が要となりますから、ほ…

日記:なごやまつり

さて……。 8月3日の土曜日。 家族旅行で名古屋を訪問しましたが、その日の夜は、少し時間を頂き、古い友達、そして新しい友達と歓談する時間をつくることができました。皆様、お忙しい中、時間をさいてくださりありがとうございました。しかしびっくりのす…

旗の台の満衛門

水曜日は授業が済んでから、ふるい知人……そう、その名前を“兇賊・旗の台の満衛門”とでも呼んでおきましょうかw……と軽くのつもりが重く一献。貴重な時間をありがとうございました。しかし、すこし飲み過ぎた具合によって……だな。げふんげふん。

虚言をなすことなかれ。知りながら詐りをしないようにせよ。

- 虚言をなすことなかれ。知りながら詐りをしないようにせよ。また生活に関しても、知識に関しても、戒律や道徳に関しても、自分が他人よりもすぐれていると思ってはならない。(八つの詩句の章・九三一) −−中村元訳『ブッダのことば スッタニパータ』岩波…

「全体の未来を守るという責任性」という観点から

- 責任性の感覚というのはどういうことかといいますと、人間がみずからの命を守っていくことと同時に人間以外のすべての生あるものの未来、たとえば動物種、植物種の未来、音楽や芸術や映画といった非身体的な価値の未来、あるいは時間に対する人間の関係の…

「軽く」いくはずが「重く」といういつものパターン

どうでもいい雑感ですいませんが、木曜日は授業のあと、教員バスでいっしょになった英文学のF先生と、、、「軽くイキますか?」、、、などという話になりましたので、二つ返事で、「重く」、、、行ってしまった次第です。ちょうどF先生のお知り合いの米文…

アマチュアというのは、社会のなかで思考し憂慮する人間のことである。

- アマチュアリズムとは、文字通りの意味をいえば、利益とか利害に、もしくは狭量な専門的観点にしばられることなく、憂慮とか愛着によって動機づけられる活動のことである。 現代の知識人は、アマチュアたるべきである。アマチュアというのは、社会のなかで…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・八王子市編「立ち飲み居酒屋座らず屋 おや!福幸」

訪問してからだいぶたちますが、「立ち飲み居酒屋座らず屋 おや!福幸」を紹介しておきます。京王八王子駅前のいわゆる「立ち飲みやさん」で、先月利用させていただきました。だいぶ前から気にはなっていたところですが、角ハイボールの黄色い看板が目印です…

隣り人を自分自身のように愛せよということは、すべての人を同じように愛せよという意味ではない。

- 隣り人を自分自身のように愛せよということは、すべての人を同じように愛せよという意味ではない。なぜなら、わたしも自分自身の存在のありようを全部が全部同じように愛しているわけではないからだ。また、すべての人を決して苦しませてはいけないという…

「僕みたいに白人で男で中産階級のアメリカ人学生は何も言う資格がないんじゃないでしょうか」とぼやくだけでなく

- 現在ニューヨークのコロンビア大学で教鞭をとるガヤトリ・スピヴァクは、その難解な文章もさることながら、教室でもきびしい姿勢で有名である。あるとき大学の教室で、ひとりの学生が「先生の言われるように、自分の出自を自覚したり、自分がどんな特権的…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・新宿区編「ビア&カフェ BERG」

- 大治郎は、また老人に出会った。 山谷堀の南に、真土山(まつちやま)の聖天宮(しょうてんぐう)がある。 この日も、大治郎は田沼屋敷からの帰りで、いつもよりは時刻も早かったものだから、聖天宮へ参拝してから、門前の〔月むら〕という蕎麦屋へ入り、 …

旨いもの・酒巡礼記:大阪府・大阪市編「わたしの大阪放浪記」

- 食について 人間は生まれ出た瞬間から、死に向かって歩みはじめる。 死ぬために、生きはじめる。 そして、生きるために食べなくてはならない。 何という矛盾だろう。 これほどの矛盾は、他にあるまい。 つまり、人間という生き物は、矛盾の象徴といってよ…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・国分寺市編「かまどか 国分寺店 釜飯・串焼」

- 食べ物は会話の話題としては天候よりも新鮮で面白い。天候についての話題はどうしても限度があるけれど、食べ物なら、いくらでも延々と喋ることができる。それに、気候状態の話では(どういう天気が好きで、どういう天気が嫌いかについては同意見の人が多…

飲む気になれば,理由はいつでもどこでも,必ずある.古今東西を通じて真理であろう

- 【さけ】 84 飲む理由はたくさんある. multae sunt causae bibendi. ことわざ飲む気になれば,理由はいつでもどこでも,必ずある.古今東西を通じて真理であろう. −−柳沼重剛編『ギリシア・ローマ名言集』岩波文庫、2003年、120−121頁。 - とりあえず…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・国分寺市編「串焼 芳一 国分寺店」

- 完全なものは、自由をもって表現される場合には、すぐに美しいものに変ずる。物の自然が、その技巧として一致して現れる場合には、すなわち、あたかも技巧が物自身から自発的に流れ出るかのように見える場合には、完全なものは自由をもって表現されます。…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・中野区編「ゆむゆむ Yumu Yumu」&「中野 Public BAR Abbot's Choice」

先日KO中野祭?で利用したお店のメモ 1軒目。ゆむゆむ Yumu Yumu 住所 〒164-0001 東京都中野区中野2-29-2 KMビル1F ゆむゆむ (Yumu Yumu) - 中野/串焼き [食べログ]ドリンク類がだいたい300円台で楽しめる(その分、気分、量が少し少ないかw)、い…

晩餐は一日の最後の仕事ゆえ、ゆっくりとちょうだいするのがよろしい

- 晩餐は一日の最後の仕事ゆえ、ゆっくりとちょうだいするのがよろしい。快食者はいずれもいっしょに同一の目的地に着くべき旅人同士の心持でなければならぬ。 −−ブリア=サヴァラン(関根秀雄、戸部松実訳)『美味礼讃 上』岩波文庫、1967年、244−245頁。 -…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・国分寺市編「もつやき処 い志井」

- 我々は右のごとき学の事実に代えて、日常的実践的なる経験の事実を捕らえようとする。かかる経験は、単に観照的なる対象の認識ではなくして、実践的行為的なる連関そのものの内に与えられている。だからそこでは対象は常に人間存在の表現である。たとえば…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・杉並区編「荻窪ワイン食堂 おかげさん2」

- むかし、芝居の仕事をしていたころ、新国劇の島田正吾と名古屋の鮨屋で酒をのんだとき、島田が、 「あんたを一度でいいから、前後不覚に酔わせてみたいな。ほんとにこの人ときたら、ぐでんぐでんに酔っぱらうことがないんだから、つまらない」 と、いった…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・八王子市編「しぞ〜かおでん ハナクラ」

- 老悪魔は、こうして梯子を下へころげ落ちると、おそろしい勢いで地面へ頭をつっこんだ。そこでイワンは、かれがどれくらいたくさんの仕事をしたかを見るために、そばへ寄ろうとした、−−と、ふいに地面が裂けて、老悪魔はその中へ落ち込んでしまい、あとに…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・八王子市編「バーゼル洋菓子店京王八王子店(BRSSERIE BASEL)」

- 芭蕉が「わが門の風流を学ぶやから」(遺語集)ということをいっているが、風流とはいったいどういうことか。風流とは世俗に対していうことである。社会的日常性における世俗と断つことから出発しなければならぬ。風流は第一に離俗である。孔子が子路、曾…

「あるものは他のもののために」という表現における「ために」〔代わりに〕は、ある語られたことと他の語られたこととの、ある主題化されたものと他の主題化されたものとの係わりに還元されるものではありません。

- 「あるものは他のもののために」という表現における「ために」〔代わりに〕は、ある語られたことと他の語られたこととの、ある主題化されたものと他の主題化されたものとの係わりに還元されるものではありません。さもなければ、としての意味の次元にとど…

旨いもの・酒巡礼記:北海道・札幌市編「THE BUFFET(ザ・ブッフェ) 大丸札幌」

- 「網掛けの人……もし、さむらい松五郎さん……」 よびかけながら、男がついて来て、 「この、須坂の峰蔵の顔を忘れなすったかえ?」 忠吾は、こたえぬ。 「ま、それもむりはねえ。七年前に、ひとりばたらきのおれが、湯屋谷の富右衛門お頭のところに、ちょい…

旨いもの・酒巡礼記:北海道・札幌市、番外編「SUNTORY BAR 1999」

表題の通り番外編。F45ビルの8Fの「魚まさ」で24:00まで呑んでから、そのまま1Fのサントリー直営のショットバー「SUNTORY BAR 1999」へ直行w女性バーテンダーが迎えてくれる洒落たお店ですが、たしか、山崎とアイラモルトをがぶがぶとやったのですが・・…

旨いもの・酒巡礼記:北海道・札幌市編「函館海鮮居酒屋 魚まさ」

- そのころ、秋山小兵衛は元長の二階で、松村伊織と酒を酌みかわしていた。 小兵衛が、きげんよく酒をすすめるものだから、伊織は先刻の醜態を忘れ果てたかのように盃を重ね、小兵衛のさそいにのって、 「いや、先生、まことにどうも……わたしも、あのような…

福岡空港で「角打(かくうち)」! 

- 同じ事柄でも、朝と晩ではひとは同じように考えない。だが、夜の思考は朝の精神とでは、どちらが真実だろうか? 二様の解答があり、したがって人間にも二つの種類があるのだ。 −−カミュ(高畠正明訳)『太陽の讃歌』新潮文庫、昭和四十九年、115頁。 - 酒…

旨いもの・酒巡礼記:福岡県・福岡市編「玄海鮮魚 博多 いねや」

福岡へ出張する直前、昨年の福岡スクーリングで受講された学生さんからメールがありました。今回、別の科目を福岡で履修予定で、昨年のメンバーも少し集まりますから、先生、お時間ありますか?というものでしたが、「大丈夫ですよ」と答えて、1日目の授業…

旨いもの・酒巡礼記:福岡県・福岡市編「海物(かいぶつ)」

福岡によると必ず訪問するのが、居酒屋「海物」です。2007年に初めて地方スクーリングで担当したのが福岡市会場でのそれでしたが、その折り、学生さんから教えていただき、当時は住吉店を訪れてから度肝を抜かれたわけですが、のれんもなければ看板もなにも…

いまの私は、ほろ酔いになったところで、やめてしまう。

- そのほかに大酒したのは、太平洋戦争中に、私の出征がせまり、これも名古屋で、何年かぶりで父と会い、大須の宿屋の二階で、やはり三升ほどのんだことがある。酒は、父が工面してきてくれた。 このとき、父から、 「お前さんが四つのとき、台所にあった一…