法を設けて人民を保護するは、もと政府の商売柄にて当然の職分なり。これを御恩と言うべからず
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そもそも御国恩とは何事を指すや。百姓町人らが安穏に家業を営み盗賊ひとごろしの心配もなくして渡世するを、政府の御恩と言うことなるべし。固よりかく安穏に渡世するは政府の法あるがためなれど、法を設けて人民を保護するは、もと政府の商売柄にて当然の職分なり。これを御恩と言うべからず。政府もし人民に対しその保護をもって御恩とせば、百姓町人は政府に対しその年貢運上をもって御恩と言わん。政府もし人民の公事訴訟をもって御上の御厄介と言わば、人民もまた言うべし、十俵作り出したる米の内より五俵の年貢を取らるるは百姓のために大なる御厄介なりと。いわゆる売言葉に買言葉にて、はてしもあらず。兎に角に等しく恩のあるものならば、一方より礼を欠いて一方より礼を言わざるの理はなかるべし。
−−福沢諭吉『学問のすゝめ』岩波文庫、1978年、24−25頁。
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「お上」ってそんなにありがたいものなのか……徹底的にその問題性を痛罵したのは福沢諭吉(1835−1901)。
そしてその返す刀で、「お上には逆らえない」とそれをありがたがる封建的奴隷根性を同時に撃った。
「人民を保護するは当然の職分」。
まったくもってきちんとやってくれません。
こんなものに「逆らえない」という奴隷根性は、もう終わりにしないと(涙
福沢の指摘からすでに百年以上が経過しているんですよ!!!
余談ですが、写真の「天もり」はJR国分寺駅北口の立ち食い以上○○庵未満の「蕎麦 だいごろう」の一品。480円なり。
ただ驚く勿れ。
つくりおきしたものではなく注文してから茹で、天ぷらも揚げてくれる。
……こういう本格派のおつとめがしたいものですね。
⇒ ココログ版 法を設けて人民を保護するは、もと政府の商売柄にて当然の職分なり。これを御恩と言うべからず: Essais d'herméneutique