但し此の浄福は外的なる力によつて彼に与へられるものではなく、彼自身、自らの手を以てそれを把握せねばならぬ、と。
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私は斯く考へる。人間は不幸に運命づけられたものではない。若しただ彼自身それを欲するならば、既に此の地上至る処に於て、又何時にても、平和、静寂、浄福を得ることが出来る。但し此の浄福は外的なる力によつて彼に与へられるものではなく、彼自身、自らの手を以てそれを把握せねばならぬ、と。人間のすべての不幸の原因は、多様にして可変的なるものを追て散乱してゐることである。浄福なる生の唯一絶対の条件は、深き愛と享受を以て、一にして永遠なるものを把捉することである。尤も、云ふ迄もなく、我々は此の一者に転ずることは出来ないのではあるが。
−−フィヒテ(高橋亘訳)『浄福なる生への指教』岩波文庫、1938年、77頁。
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2011年大晦日。
さまざまな局面で……すなわち、リアルなコミュニケーションから、twitter、facebook、snsなど、みなさまと闊達な意見を交わすことができたことに感謝の一年です。
自分自身と対話し、そして他者と対話し、そして生きている世界や自然、そして時間や歴史と対話しながら、また新しい自分自身をお互いに構築していきたいなと思います。
新年もかわらぬ、否……今年以上に、お互いに刺激を与えていけるような一日一日にして参りたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
筆主敬白。
浄福なる生への指教 (岩波文庫 青 627-5)
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浄福なる生への導き (平凡社ライブラリー)
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