覚え書:「みんなの広場 学校側の口元チェックに驚き」、『毎日新聞』2012年3月25日(日)付。





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みんなの広場 学校側の口元チェックに驚き
無職 61(滋賀県湖南市

 君が代の起立斉唱を義務づける条例を全国で初めて制定した大阪府の府立高校の卒業式で、教頭らが教職員の口の動きを見て、歌っているかチェックしていたと報じられた。子どもの教育を行う学校での出来事なのか、とがく然とした。
 その口元を注視する目は断じて教育者の目ではない。戦前の演説会などの言論を監視する臨検の目であり、ただただ取り締まりの目だ。この高調は、条例制定時に府知事だった橋下徹大阪市長の友人である弁護士とのことだが、府教委からの職務命令を順守したと主張し、橋下氏も擁護している。驚くばかりだ。このような教職員間に不信感が生まれる校舎で、人間的成長を目指す教育ができるのあろうか。学校側は生徒たちにどう説明するのだろうか。君が代については個々人の歴史観によって考えはさまざまだ。それを許容せず、一つの方向に向かせる権力の発動は、人間関係をゆがめる。とりわけ教育の場にあっては、絶対許されるものではない。
    −−「みんなの広場 学校側の口元チェックに驚き」、『毎日新聞』2012年3月25日(日)付。

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