覚え書:「今週の本棚:『SF挿絵画家の時代』=大橋博之著」、『毎日新聞』2012年11月04日(日)付。
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今週の本棚:『SF挿絵画家の時代』=大橋博之著
(本の雑誌社・1890円)
小松崎茂から加藤直之まで、総勢71名の日本の挿絵画家を追った「SFアート史」にして「SFイラストレーターガイド」が刊行された。
できるかぎり本人に会うことを基本原則とし、故人の場合は家族に話を伺い、膨大な史料を猟歩し、ときには探偵顔負けの調査を経て、異色かつ異彩を放つSF挿絵の世界を紹介する。「労作」の一言で片づけてしまうのは申し訳ないとおもうくらいたいへんな仕事だ。
『SFマガジン』や『奇想天外』などのSF雑誌が生まれた「SF黎明期」、『SFアドベンチャー』や『SF宝石』が登場する「SF興隆期」、サンリオSF文庫がスタートした「SF浸透期」、角川スニーカー文庫や富士見ファンタジア文庫が出た「SF新生期」……。SFの読者の幅が広がるにつれ、SF挿絵のヴィジュアルも変遷していく。
「どの作家も全てSFを書けたわけではないのと同じように、SFを描いた挿絵画家にはSFを描く資質が必要だったのだ」
絵の魅力もさることながら、挿絵画家たちの仕事ぶりや自らの作風を確立するための試行錯誤など、それぞれの経歴も味わい深い。(魚)
−−「今週の本棚:『SF挿絵画家の時代』=大橋博之著」、『毎日新聞』2012年11月04日(日)付。
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