覚え書:「今週の本棚;イタリアの島から日本へ、そして世界へ=ヨゼフ・ピウタ著」、『毎日新聞』2013年01月13日(日)付。




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今週の本棚;イタリアの島から日本へ、そして世界へ
ヨゼフ・ピウタ著(上智大学出版・1260円)

 カトリックの本山バチカンローマ教皇庁)で、前教皇ヨハネ・パウロ2世の右腕として庁立グレゴリアン大学長や教育省次官の重責を担ったヨゼフ・ピウタ大司教は、恐らくまた、日本ともっとも深い関係をもつイタリア人聖職者・教育者だろう。
 1928年、伊サルデーニャ島に生まれ、イエズス会に入会。52年の来日後、カトリック系名門校、神奈川・栄光学園で教鞭を執り、上智大教授を経て同大理事長、学長を歴任した。上智大創立100周年を迎えるにあたり、記念事業の一環として、その人柄を慕う卒業生らの協力で初めての自伝がまとめられた。
 70年代の激しい学生運動を越えて大学改革に取り組み、81年には学長として、日本を訪れた最初の教皇であるヨハネ・パウロ2世を案内し、上智大キャンパスにも迎えた。数々の出会いの記憶がよみがえる。
 戦後の荒廃の中、次々に学校が建て直される様子を見て「日本の将来は明るい」と確信した。2004年に75歳で日本に「帰国」した後も、「人類の将来にとって重要なのは教育」との信念は揺るがない。
 運命に導かれ、信仰と教育に捧げられた半生の記録である。(卓)
    −−「今週の本棚;イタリアの島から日本へ、そして世界へ=ヨゼフ・ピウタ著」、『毎日新聞』2013年01月13日(日)付。

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ヨゼフ・ピタウ大司教自伝 イタリアの島から日本、そして世界へ
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ぎょうせい
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