覚え書:「書評:『生命とは何だろう?』 長沼毅著 評・畠山重篤」、『読売新聞』2013年03月24日(日)付。




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『生命とは何だろう?』 長沼毅著

評・畠山重篤(カキ養殖業)

 幼稚園児だったある日、著者はすべり台の上からすべり降りて着地した時、“自分はどこから来てどこへ行くのだろう”と考えたというから、天才的な頭脳の持ち主なのだろう。

 しかし、研究室に閉じ籠もることなく、地底、海底、南極、北極、砂漠と、生命の起源を探し求めてフィールドワークを徹底的に行う姿勢を崩さない。

 “生命とは何か”という根源的なテーマに迫ろうとする時、あらゆる学問の壁を越えねばならない。そこは正に天才の領域と言える。

 137億年前に宇宙が誕生し、さまざまな素粒子が生まれ、やがて水素やヘリウムなどの原子が作られたことが「生命の起源」となったというが、ホモ属(ヒト属)の登場はわずか260万年前と言われている。はたして人類はどのような進化を遂げるのか。

 地球温暖化についても言及している。本当に怖いのは、むしろ寒冷化であると。興味津々なテーマが最後まで並ぶ。これから知の山脈を歩き始める人にとって必読の一冊である。(集英社インターナショナル、1000円)
    ーー「書評:『生命とは何だろう?』 長沼毅著 評・畠山重篤」、『読売新聞』2013年03月24日(日)付。

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http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20130326-OYT8T00866.htm






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