覚え書:「ひと:バラック・クシュナーさん=ケンブリッジ大の『ラーメン先生』」、『毎日新聞』2013年04月05日(金)付。


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ひと:バラック・クシュナーさん=ケンブリッジ大の「ラーメン先生」
毎日新聞 2013年04月05日 東京朝刊

 ◇バラック・クシュナー(Barak Kushner)さん(44)

 米国の名門プリンストン大で第二次世界大戦中の宣伝活動を研究し、博士号をとった正統派学者だが、日本の大衆食ラーメンにものめり込み、昨年、英文の著書「スラープ(つるつる)!」をまとめた。

 この国民食との出合いは岩手県山田町の学校で英語助手をしていた92年、教委職員に連れられ入った「六文」という店。日本料理は洗練されていると思っていたので、これも日本食と聞いて驚いた。すぐ気に入ったが、「レーメンをラーメンの岩手方言と勘違いしていたので、何度注文しても冷麺が出てきた」と笑う。

 専門は外国との関係からみた近現代日本史。

 「チャーシューは中国の影響。麺は第二次世界大戦後、米国から小麦を大量輸入したことで広まった。ラーメンには、日本の近現代史が凝縮されているんです」

 ラーメンを軸に日本史を見るのも面白いと思い04年、本格研究入り。日本滞在通算7年で、鹿児島から北海道まで50地域以上で食べた。ラーメン好きで知られる落語家、林家木久扇師匠はじめ50人以上にインタビューした。大衆食にこだわった背景には、「政治や経済が上、大衆文化は下」と考える学問世界の保守性に、異を唱える意味もあった。

 「ラーメンには店長の個性が出るため、チェーン展開が難しい部分もある。そこが魅力」と言う。ラーメン出店ブームのロンドン。日本の国民食が持つ「個性」をロンドン市民に再認識してもらうことも期待している。<文と写真・小倉孝保

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 ■人物略歴

 米ニュージャージー州出身。東京大に留学経験がある。06年英ケンブリッジ大講師、10年に准教授。
    −−「ひと:バラック・クシュナーさん=ケンブリッジ大の『ラーメン先生』」、『毎日新聞』2013年04月05日(金)付。

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http://mainichi.jp/select/news/20130405ddm008070141000c.html





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