覚え書:「今週の本棚・新刊:『世界宗教百科事典』=井上順孝ほか編集委員会編」、『毎日新聞』2013年04月07日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『世界宗教百科事典』=井上順孝ほか編集委員会編
毎日新聞 2013年04月07日 東京朝刊
(丸善出版・2万1000円)
かつて高校社会科に「倫理・社会」という科目があったが、近年の高校生の、とくに宗教に対する関心は著しく薄らいでいるようだ。試験に宗教関係の出題があると、平均点が下がる傾向にあるという。冠婚葬祭の場を除き、宗教を意識せずに暮らせる現代だから仕方ない、では済ませたくない。800頁(ページ)に及ぶ本書を繰る意味とは何だろうか。
国境を越える人の往来がこれほど密になり、世界発の情報をネットで瞬時に入手できる時代だからこそ、「世界の人口の過半数はなんらかの宗教を信じている」ことの意味は大きい、と本書は説く。ダイナミックな情報化、グローバル化が進む世界では相手の宗教の理解は不可欠だ。
難しく考えなくても、「文学、絵画、映画、音楽における宗教的モチーフ……世界遺産に占める宗教施設の比重の大きさは明らか」ともあるように、宗教を知るのは面白い。
古代オリエントのゾロアスター教やミトラ教に始まり、宗教が時代や地域によっていかに多様な変容を遂げたかをたどれば、そのつど新たな発見がある。さまざまな宗教の研究者が挙げる「さらに学びたい人のための文献ガイド」も貴重だ。(卓)
−−「今週の本棚・新刊:『世界宗教百科事典』=井上順孝ほか編集委員会編」、『毎日新聞』2013年04月07日(日)付。
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http://mainichi.jp/feature/news/20130407ddm015070013000c.html