覚え書:「書評:二・二六事件の幻影―戦後大衆文化とファシズムへの欲望 [著]福間良明」、『朝日新聞』2013年04月07日(日)付。




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二・二六事件の幻影―戦後大衆文化とファシズムへの欲望 [著]福間良明
[掲載]2013年04月07日   [ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝 

 「昭和維新」を掲げた二・二六事件が戦後、映画や小説でどう描かれてきたか。
 戦後しばらくは、言論統制の影響もあって、青年将校の「純粋ゆえの浅慮」が批判的に語られていた。しかし1960年代末の大学紛争期になると、彼らに権力批判を読み込み、彼らの政治的情熱に共感する作品が登場する。
 80年の映画「動乱」や89年の「226」では政治的要素は後景に退き、もっぱら「私的な純愛」に焦点が当てられる。彼らは「飽食の時代」を批判する存在としても位置づけられるようになる。
 青年将校を批判する視点が消えていく過程は、「変革」「維新」が再び語られる今、示唆的だ。
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 筑摩書房・2310円
    −−「書評:二・二六事件の幻影―戦後大衆文化とファシズムへの欲望 [著]福間良明」、『朝日新聞』2013年04月07日(日)付。

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