覚え書:「今週の本棚・新刊:『表現の自由とメディア』=田島泰彦・編著」、『毎日新聞』2013年04月28日(日)付。




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今週の本棚・新刊:『表現の自由とメディア』=田島泰彦・編著
毎日新聞 2013年04月28日 東京朝刊

 (日本評論社・4515円)

 「表現の自由」の観点から考えると、新聞、放送、ネットメディアにはさまざまな制約がある。人権・プライバシー侵害に対する権力による規制や自主規制、政治の圧力、暴力的ゲームや「わいせつ」表現の規制、裁判員裁判における取材・報道の制約−−。本書はこうした問題についてメディア法の観点から論点整理し、詳細に考察している。上智大新聞学科教授の田島氏の他、7人の研究者の論考で構成されている。

 氏は、メディアは「権力の監視」という本来の責任を探求するため、それぞれの問題について過剰な公権力の介入や法規制を排除し自らの倫理規範に基づいて、自主・自律的に克服していくべきだと説く。自主規制は、専門家や市民も参画する開かれた制度にすべきだと提言する。

 インターネットにおける人権侵害や、情報源の開示をめぐる日米新聞の違いなど、海外メディアの現状を幅広く紹介し、日本と対比しているのも特徴だ。氏と親交のある英国の研究者が、英国における「プレスの検閲」の実態を考察していて興味深い。成熟した市民社会で「表現の自由」とメディアの関係はどうあるべきか、深く考えさせてくれる。(吉)
    −−「今週の本棚・新刊:『表現の自由とメディア』=田島泰彦・編著」、『毎日新聞』2013年04月28日(日)付。

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http://mainichi.jp/feature/news/20130428ddm015070049000c.html




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表現の自由とメディア
田島泰彦
日本評論社
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