書評:広井良典『人口減少社会という希望 コミュニティ経済の生成と地球倫理』朝日新聞出版、2013年。




広井良典『人口減少社会という希望 コミュニティ経済の生成と地球倫理』朝日新聞出版、読了。私たちの直面する人口減少社会は「絶望」なのか。著者より豊かな社会へのステップアップ(希望)と捉え、幾つかの処方箋を提示する。フィールドワークに基づく身の丈にあった地域内循環論は説得力を持つ。

高度成長期に「大きいことはいいことだ」とのCMが。それは経済成長こそ国民の幸せに直結という「地域離脱」のモデルでった。が、経済成長が全てを解決したのかと問えばそうではない。著者は安易なノスタルジーを退けながら地域密着の知恵を探る。

勝他の念の囚われた成長の論理は留まることを知らない。等身大の成長とは個人の自由に基づくものだ。著者は伝統宗教の価値観と論理を振り返り、社会保障を地球倫理の実践として措定する。本書の特色は、各論だけでなく、文明論にある。

ややアクロバティックですけど、本書の魅力は、地域の実践を丹念に取材しつつも、「人口減少社会」を文明論として捉え直したところにある。











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