書評:上山隆大ほか『大学とコスト 誰がどう支えるのか』岩波書店、2013年。



上山隆大ほか『大学とコスト 誰がどう支えるのか』岩波書店、読了。教育費は本人(とその家族)が支払うべきという風潮が根強い。しかし個人負担の考え方はどうやら世界標準とは考えにくい。本書は、日本の「大学とコスト」を巡る現状について、その歴史と政治経済的背景を掘り下げる一冊。

本書の論考は、受益者負担神話の甘受に欺瞞を明らかにすると同時に、公的財政支援の必要性を提唱する。公益…その公益が一政府に還元されないのも大学教育だが…としての大学教育をコストから検証する本書はから学ぶべき点は多い。

本書は『シリーズ 大学』の第3巻。
グローバリゼーション,社会変動と大学 - 岩波書店 

「社会が大学を支え,大学が社会に役立つという関係を発展させていけるとすると,それはどういう方向に向かってなのか」。

因みに、1990年入学の、慶應義塾大学文学部の授業料は50万ぐらいだったと記憶しているけど、20年後のこんにちは80万だから、物価上昇にスライドさせたというそれではないような感もなきにしもあらず、というか。まあ、慶應に80万ブッコむなら、まあ、安いといえば安いのだろうけど。

参考:坂口幸世「大学授業料のはなし 授業料の現在と歴史」、『よみトク入試情報』2009年11月号。
pdf http://www.yomiuri.co.jp/education/kouza/nyushi/0911/pdf/n0911.pdf
 









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