書評:坪内祐三『探訪記者 松崎天民』筑摩書房、2011年。






坪内祐三『探訪記者 松崎天民筑摩書房、読了。明治から昭和にかけ、木賃宿や娼窟、女学生ルポなどを、地を這う取材を基に読ませる名文で綴り、足尾銅山大逆事件、精神病院を取材した探訪記者の本格的評伝。「探訪記者」とは現代でいえばルポルタージュの走りか。天民への畏敬の満ちた一冊。

小学校を出て様々な職業を遍歴し文筆の世界へ。天民は足尾銅山へも坑夫となって山へ入り、取材したというから驚くばかり。しかし彼自身差別や貧困に強い関心を持っていたにも拘わらず「イデオロギーとしてではなく実感としてだった」という。

「著者は天民の人間性に惚れ込み、その生きた時代を描きたかった」。「地下の天民、もって瞑すべし/大村彦次郎」。明治後半〜時期の「新聞記者」事情も詳しく分かるオススメの一冊です。









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探訪記者松崎天民
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坪内 祐三
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