覚え書:「今週の本棚・新刊:『心のケアが必要な思春期・青年期のソーシャルワーク』=西隈亜紀・著」、『毎日新聞』2014年07月13日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『心のケアが必要な思春期・青年期のソーシャルワーク』=西隈亜紀・著
毎日新聞 2014年07月13日 東京朝刊

 (中央法規・2808円)

 引きこもりだった15歳のアキラさんは、家庭で暴力を振るうようになったため精神科病院へ入院、ソーシャルワーカー(SW)と出会い、退院後の居場所を探して、両親からの自立を目指す−−。実は、このような若者の心のケアに対応する専門機関は少ないという。児童相談所がカバーするのは18歳まで、精神科病院は主に統合失調症の中高年が対象。思春期−青年期の若者は、児童福祉法と障害者総合支援法との「制度の狭間(はざま)」に落ち込んでいる。

 著者は、精神科病院のSWとして心の病を持つ人々と10年以上向き合った。そこで知った支援の狭間に落ち込んだ若者たちの苦しみ。最悪の場合、リストカットを図るケースもある。本書では、生きづらさを抱える若者の心のケアの経過をアキラさんをモデルに紹介。「かつての自分」を思い出して感覚を合わせるなど、若者との接し方を具体的に説く。

 若者の心のケアをまとめた本は、多くない。SWや医師ら専門職だけではなく、家族、友人、教師ら身近にいる大人たちも、若者が人生のトンネルから抜け出る「出会い」となるよう受け止めてほしい−−。そんな思いが詰まっている。(悦) 
    −−「今週の本棚・新刊:『心のケアが必要な思春期・青年期のソーシャルワーク』=西隈亜紀・著」、『毎日新聞』2014年07月13日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140713ddm015070020000c.html





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