覚え書：「書評：世界に冠たる中小企業 黒崎 誠 著」、『東京新聞』2015年04月05日（日）付。
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世界に冠たる中小企業 黒崎 誠 著
2015年4月5日
◆前向きな努力の数々
【評者】中沢孝夫＝福山大教授
ビッグではないがオンリーワン、ナンバーワンの中小企業がたくさん紹介されている。著者が日本の各地を踏査して描く、自動車や建設機械向けのオリジナルな部品や、生産設備メーカーの新製品・新技術の開発。あるいは、「摘みたてのようにみずみずしい新鮮さを保つプリザーブドフラワー」の製品化などの努力がみな素晴らしいのである。
例えば、繊維機械のスピンドルなどの部品で世界の先頭に立つメーカー。「言い値で」買ってもらえる宇宙ステーションなどに使われる高度なバネをつくる会社。世界の美容師を魅了するハサミを製造する町工場。新幹線など鉄道用車輪製造を支える工作機械の専門メーカー。さらに口から飲むカプセル型の内視鏡製造、半導体の生産に欠かせないフォトマスクの研磨で世界市場を制覇する会社。
事例によって成り立っている本なので、詳しくは読んで欲しい。読了して浮かび上がってくるのは、日本の中小企業の実力である。大切なのは会社の大小ではない。
むろん「かわいそうな中小企業」「困っている中小企業」もあるのだが、それは必ずしも、「会社の規模」を原因とする「問題」だけではない。本書に登場する、メッキや熱処理という工程技術を含め、この著者が描く中小企業は、みな前向きで読者に希望を与える。
（講談社現代新書・８６４円）
くろさき・まこと １９４４年生まれ。帝京大教授。著書『起業家の条件』など。
◆もう１冊
中沢孝夫著『中小企業の底力』（ちくま新書）。人材育成、技術力など、日本の中小企業の強さの源を現場から探る。
−−「書評：世界に冠たる中小企業 黒崎 誠 著」、『東京新聞』2015年04月05日（日）付。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2015040502000207.html
