覚え書:「ひと:上橋菜穂子さん=「鹿の王」で2015年本屋大賞を受賞」、『毎日新聞』2015年04月08日(水)付。

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ひと:上橋菜穂子さん=「鹿の王」で2015年本屋大賞を受賞
毎日新聞 2015年04月08日 東京朝刊


本屋大賞:上橋菜穂子さん作「鹿の王」
 ◇上橋菜穂子(うえはし・なほこ)さん(52)

 「児童文学のノーベル賞」といわれる国際アンデルセン賞に昨春輝いた作家にして文化人類学者。作品は児童文学に分類されがちだが、目指したのは「人間が昔から夢中になって聞いた、語り部が紡ぐ話のような物語」。例えば「指輪物語」や「ゲド戦記」のような。対象年齢を意識したことはない。それだけに本好きの書店員が選んでくれた賞を、「何よりもうれしい」と喜ぶ。

 物心ついた時から“物語中毒”。今でも買い物中、カード支払いの手続きを待つ間も本を読んでしまうという。

 もう一つ喜びをかみしめる理由がある。家族が重篤な病気になり看護の日々。「この先どうなるか、闇夜を歩いているようだった。受賞は、久しぶりに明るい春の日差しの中に入ったような気持ちにさせてもらった」

 受賞作は「守り人」など二つのシリーズを終えた後に生まれた。スランプになり、ウイルスや免疫の本を読破。「人間の腸内には自分の体細胞より多い細菌、つまり他の生物がいて共存したり闘ったり。体の内側と同じことを外でも起こしている」と、文化人類学者のアンテナが反応した。異世界を舞台に、謎の死病の解明、民族間の対立などを通して命をつなぐ意味を解き明かす。感染症やテロがやまない現代に問いかけてもくる。「特効薬がほしいと思うから解決が難しい。もしかしたら、自分のできることをやることが糸口かな」<文・内藤麻里子 写真・内藤絵美>

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 ■人物略歴

 東京都出身。川村学園女子大学特任教授。オーストラリアの先住民族アボリジニを研究。1989年、作家デビュー。
    −−「ひと:上橋菜穂子さん=「鹿の王」で2015年本屋大賞を受賞」、『毎日新聞』2015年04月08日(水)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20150408ddm008070070000c.html





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