覚え書:「今週の本棚・新刊:『シベリア抑留 日本人はどんな目に遭ったのか』=長勢了治・著』 著者・丸山健二さん」、『毎日新聞』2015年06月07日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『シベリア抑留 日本人はどんな目に遭ったのか』=長勢了治・著
毎日新聞 2015年06月07日 東京朝刊
(新潮選書・1836円)
いまだに分からないことの多い「シベリア抑留」。民間研究者が日本、ロシア双方の資料を活用し、当事者の体験記500冊以上を読み込んで分析し、平易な言葉で解説した。
戦争終結後に日本の軍人らがソ連・モンゴルに送られ、寒さと飢えの中、重労働を強いられたというのが一般的な見方だ。著者はそれに加えて、当時ソ連が管理していた満州(中国東北部)、朝鮮北部、サハリンなどの日本軍人・民間人の収容も抑留だと捉える。厚生労働省の抑留者57万5000人、死者5万5000人に異を唱え、「抑留者70万人、死者10万人」と主張する。概念や数字の信頼性を巡り議論を呼びそうだ。
背景、多様な抑留の態様から帰国までを描く。現地に残留した人々にも目を向ける。添付された抑留地の見やすい地図や解説は、身近に体験者がいる人にも親切だ。
著者は45歳の時、体調不良で会社を退職した。帰郷してロシア語を学んだ時、ロシア人の抑留研究書に出合ったという。本書はそんな異色の研究者の20年間の成果でもある。「つい七○年前に起こった日本人の悲劇が、少しでも多くの現代人に知られることを望みたい」と記す。(青)
−−「今週の本棚・新刊:『シベリア抑留 日本人はどんな目に遭ったのか』=長勢了治・著』 著者・丸山健二さん」、『毎日新聞』2015年06月07日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20150607ddm015070018000c.html
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