覚え書:「若者と政治、変化の芽 友人、集会に参加/学校で選挙話題 安保法抗議@渋谷」、『朝日新聞』2015年10月19日(月)付。

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若者と政治、変化の芽 友人、集会に参加/学校で選挙話題 安保法抗議@渋谷
2015年10月19日

渋谷駅のハチ公前広場で安保関連法制に抗議の声を上げる人々=18日午後、東京・渋谷、関田航撮影
 安保関連法制の成立から19日で1カ月。国会前を離れ、それぞれの暮らしに戻った若者たちは、今後も日常生活のなかで、街で、法制反対の声を上げていく。▼1面参照

 「終わってるなら、始めましょう!」。学生団体「SEALDs(シールズ)」のメンバーで国際基督教大4年の小林叶(かなう)さん(21)がステーログイン前の続きジの上で叫ぶと、東京・渋谷のハチ公前広場を埋めた人たちから大きな歓声がわいた。「法制が成立しても、抗議が終わったわけではない」という思いを込めた。

 関連法の成立後、夏休み明けの大学に戻ると、多くの友人が安保法制自体を知らないことに気付かされ、失望もした。短期留学したドイツでは、移民問題について排外的な主張をするデモ隊を何倍もの市民が囲んで抗議する様子を見た。痛感した。「日本はまだ政治が日常に根付いていない」

 それでも、18日のハチ公前で、変化の芽も実感できた。いつもは政治の話をしない友人が何人も見に来てくれ、「よかったじゃん」と声をかけてくれた。

 都立高3年の福田龍紀さん(18)も、「T—ns SOWL(ティーンズ ソウル)」のメンバーとして連日国会に通った日々から、勉強中心の生活に戻った。学校では友達の対応に変化があったという。「受験生なのに何やってんの」と冷笑していた友人が、応援してくれる。休み時間には、18歳以上が投票権を初めて持つ来年の参院選が話題に上るようになった。

 社会に色んな形でかかわろうと、今月には豪雨被害を受けた茨城県常総市のボランティアにも行った。がれきを運びながら、地元の人と話す。収穫直後のお米や思い出の写真が流された話に、奪われた「日常」の重みを感じた。11月には法制を巡る高校生向けの勉強会やデモを予定している。

 国会審議中、いつも運動の中心にいた「SEALDs」の奥田愛基さん(23)は、この日、ほとんど姿を見せなかった。成立直後に本人と家族を「殺害する」との脅迫文が届き、大学で警察の警備がついたこともあった。「僕が行くと警備の人たちもいなきゃいけない」と、不参加も考えた。

 だが、近くから見守ることに。短く壇上に上り「民主主義って何だ!」とコール。「やれることをやっていきましょう」と声を上げると、拍手が鳴り響いた。

 今は図書館に通う日々。大学院進学のためだけではない。「勉強しないと、自分の言葉がどんどんスッカラカンになっていくから」だ。今後については「それぞれが自分たちの日常の中で何ができるか。主体的に動いていくしかない」と語る。来年の参院選に向けて何ができるか、その後はどうするのか。思いを巡らせている。(市川美亜子、後藤遼太)
    −−「若者と政治、変化の芽 友人、集会に参加/学校で選挙話題 安保法抗議@渋谷」、『朝日新聞』2015年10月19日(月)付。

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http://www.asahi.com/articles/DA3S12022984.html





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