覚え書:「観察する男 [著]想田和弘」、『朝日新聞』2016年02月07日(日)付。
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観察する男 [著]想田和弘 [編]ミシマ社
[評者]エンタメ [掲載]2016年02月07日 [ジャンル]
台本やナレーションなどを使わずにありのままを観察して映画を撮る監督を、さらに観察したノンフィクション。編集部が制作過程を2年かけて取材した。「選挙」「演劇1」などのドキュメンタリーを発表してきた監督が、次に目を付けたのは岡山・牛窓の牡蠣(かき)工場。働き手不足に悩まされ、中国人労働者が牡蠣をむく。過疎の町に押し寄せるグローバリズムの波。夢中でカメラを回し、被写体に意識を重ね合わせていく。
予定調和を求めない、多角的な取材をしているという幻想を演出する取材は慎む、など撮影方針の「十戒」は明快。怒る材料に満ちあふれた世の中だが、「観(み)る」ことによって感情が沈静化されるという監督に思わずうなった。
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ミシマ社・1944円
−−「観察する男 [著]想田和弘」、『朝日新聞』2016年02月07日(日)付。
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観察する男 映画を一本撮るときに、 監督が考えること
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