覚え書:「ビジネス 都市と地方をかきまぜる―「食べる通信」の奇跡 [著]高橋博之 [文]梶山寿子(ジャーナリスト)」、『朝日新聞』2016年10月02日(日)付。

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ビジネス
都市と地方をかきまぜる―「食べる通信」の奇跡 [著]高橋博
[文]梶山寿子(ジャーナリスト)  [掲載]2016年10月02日
 

 人口減や高齢化に悩む農村と「生きる実感」を喪失した都市の住民。「食」を媒介にしたビジネスモデルで双方をつなぎ、かきまぜる。新たな視点の地方創生を提案する。
 著者が3年前から発行する「東北食べる通信」は前代未聞の「食べもの付き情報誌」。その食材の裏側にある物語や生産者の熱い思いを伝えることで、都会のファンを増やすのが狙いであり、とれたての野菜や魚介類はあくまで「付録」という位置付けである。
 さらにネット上のコミュニティーで生産者と読者(都会の消費者)の交流を促し、リアルな対面の場も設ける。「共感と参加」のマーケティングを駆使した“AKB48商法”農漁村版というわけだ。
 著者の前職は岩手県議。復興支援のために始めた活動が全国に伝播(でんぱ)し、今では各地で「食べる通信」の刊行が相次ぐ。交流を経て、都会の読者と生産者が親戚のような間柄になる例もあるという。
 都会に息苦しさを感じる人が頻繁に田舎を訪ねるようになれば地方経済も潤う。安全な国産食材を求めながら農漁村の苦境には知らんぷり−−そんな人々の意識を変え、一次産業を救うことができるか。現代人の行き詰まりに関する論考も興味をそそる。
    −−「ビジネス 都市と地方をかきまぜる―「食べる通信」の奇跡 [著]高橋博之 [文]梶山寿子(ジャーナリスト)」、『朝日新聞』2016年10月02日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/column/2016100200014.html


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