日記:境を変えるには、あなたが変わること。あなたが変わるには、あなたが動くこと。
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人間が楽しいときは、どういうときでしょうか。あれを買って楽しい、あきたら次を買う。政治家がだめだから、こんどはこの人に期待する。この運動に参加してみたいがいまひとつなので、ほかへ行ってみる。自分が持っている者を自慢して、他人を批判する。こういうのは、じおつはあまり楽しくありません。
なぜかといえば、自分が安全地帯にて、相手をパーツとしてとりかえているだけだからです。手間がかからず、自分が傷つく恐れがないかもしれませんが、人間は欲深いもので、受け身で消費しているだけでは満足しません。自分で何か作ってみたり、行動してみたり、関係してみないと、なかなか満足できないものです。
動くこと、活動すること、他人とともに「社会を作る」ことは、楽しいことです。すてきな社会や、すてきな家族や、すてきな政治は、待っていても、とりかえても、現れません。自分で作るしかないのです。
めんどうだ、理想論だ、信じられない、怖い、という人もいるでしょう。そう思う人は、いまのままでやっていける、このままで耐えられると思っている人なのでしょうから、これからもずっとそうして過ごしてください。いつまで続けられるかは、わかりません。あとはなたが決めることです。
境を変えるには、あなたが変わること。あなたが変わるには、あなたが動くこと。言い古された言葉のようですが、いまではそのことの意味が、新しく活かしなおされる時代になってきつつあるのです。
−−小熊英二『社会を変えるには』講談社現代新書、2012年、502−503頁。
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