覚え書:「世界を変える「デザイン」の誕生―シリコンバレーと工業デザインの歴史 [著]バリー・M・カッツ [評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)」、『朝日新聞』2017年04月09日(日)付。
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世界を変える「デザイン」の誕生―シリコンバレーと工業デザインの歴史 [著]バリー・M・カッツ
[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2017年04月09日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能
ぼくの妻は機械音痴だが、はじめてマッキントッシュを触ったとき、もっと早くこのパソコンを使いたかったと言った。そう、マックはユーザーに心地よさをもたらすのだ。このような製品が、どういう経緯で実現するに至ったのか。本書はシリコンバレーで起こった「デザイン革命」の過程をつぶさに再現する。
シリコンバレーといえども、1950年代にはデザイナーの地位は低く、エンジニアから蔑(さげす)まれる存在ですらあった。そこから彼らの、長く粘り強い戦いが始まる。何が必要なのかを自分で考え、新しい領域、新しい戦線、新しい方法論を切り拓(ひら)いていく。流行(はや)っているからやるのではない。
周囲のコミュニティも開放的で流動的だ。失敗や倒産といった衝撃をむしろ好機ととらえ、デザイナーたちは次の職場へと移り、新たな考えが広がっていく。
そのダイナミズムの蓄積が、マッキントッシュに結実している。シリコンバレーは一日にして成らず。
−−「世界を変える「デザイン」の誕生―シリコンバレーと工業デザインの歴史 [著]バリー・M・カッツ [評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)」、『朝日新聞』2017年04月09日(日)付。
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http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2017040900012.html
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