覚え書:「書店ゼロの街、2割超 420市町村・行政区」、『朝日新聞』2017年08月24日(木)付。


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書店ゼロの街、2割超 420市町村・行政区
2017年8月24日

 書店が地域に1店舗もない「書店ゼロ自治体」が増えている。出版取り次ぎ大手によると、香川を除く全国46都道府県で420の自治体・行政区にのぼり、全国の自治体・行政区(1896)の2割強を占める。「文化拠点の衰退」と危惧する声も強い。▼3面=かすむ存在感

 トーハン(東京)の7月現在のまとめによると、ゼロ自治体が多いのは北海道(58)、長野(41)、福島(28)、沖縄(20)、奈良(19)、熊本(18)の順。ほとんどは町村だが、北海道赤平市茨城県つくばみらい市徳島県三好市熊本県合志(こうし)市など7市や、堺市美原区広島市の東・安芸両区の3行政区もゼロだ。

 出版取り次ぎ大手・日本出版販売(東京)の別の統計では「書店ゼロ自治体」は4年前より1割増えた。

 全国の書店数は1万2526店で、2000年の2万1654店から4割強も減った(書店調査会社アルメディア調べ、5月現在)。人口減や活字離れがあるほか、書店の売り上げの6〜7割を占める雑誌の市場規模は10年前の6割に縮小。紙の本の市場の1割を握るアマゾンなど、ネット書店にも押される。経営者の高齢化やコンビニの雑誌販売なども影響する。

 日本出版インフラセンターの調査では、過去10年で299坪以下の中小書店は減少したものの、300坪以上の大型店は868店から1166店に増加。書店の大型化が進む。

 ■「文化拠点残して」

 作家で、文字・活字文化推進機構(東京)副会長の阿刀田(あとうだ)高さんは「書店は紙の本との心ときめく出会いの場で、知識や教養を養う文化拠点。IT時代ゆえに減少は避けられないが、何とか残していく必要がある」と話す。

 (赤田康和、塩原賢)

 ■書店ゼロ自治体の数

 北海道 58

 青森  12

 岩手   7

 宮城   6

 秋田   9

 山形  10

 福島  28

 茨城   3

 栃木   2

 群馬  13

 埼玉   9

 千葉   8

 東京   9

 神奈川  4

 新潟   4

 富山   2

 石川   1

 福井   3

 山梨   8

 長野  41

 岐阜   6

 静岡   4

 愛知   2

 三重   7

 滋賀   2

 京都   4

 大阪   5

 兵庫   2

 奈良  19

 和歌山  9

 鳥取   4

 島根   4

 岡山   3

 広島   3

 山口   4

 徳島   7

 香川   0

 愛媛   3

 高知  15

 福岡  17

 佐賀   4

 長崎   3

 熊本  18

 大分   1

 宮崎   8

 鹿児島  9

 沖縄  20

 (トーハン調べ。7月末現在)
    −−「書店ゼロの街、2割超 420市町村・行政区」、『朝日新聞』2017年08月24日(木)付。

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書店ゼロの街、2割超 420市町村・行政区:朝日新聞デジタル





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