覚え書:「折々のことば:929 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年11月10日(金)付。

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折々のことば:929 鷲田清一
2017年11月10日

 国家と密着するのが「あたりまえ」になると、自由に息を吸うことがどんな感覚だったのかさえ忘れてしまう。

 (松村圭一郎)

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 エチオピア社会を調査する文化人類学者は、言論統制は厳しいが「戸籍」という制度をもたないこの国と比べ、日本が本当に自由な国と言えるかと問う。誕生と死、単一の名と性別の登録を義務づけられ、それを前提に「私」のあり方が承(かたど)られるので、自分の存在を揺さぶる範囲もひどく狭まってくると。『うしろめたさの人類学』から。
    −−「折々のことば:929 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年11月10日(金)付。

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折々のことば:929 鷲田清一:朝日新聞デジタル






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