日記:あんときのデジカメ SANYO DSC-X1260 2010年製 「トイデジタルカメラ」と割り切って使うべし 

■ デジタルカメラ黎明期をリードしたSANYOのエントリーカメラ
すでにデジタルカメラ事業から撤退し、会社そのものも元の鞘と言ってよいパナソニックへ戻った電機メーカーが「SANYO」。白モノ家電では時代を築き、デジタルカメラ黎明期においては、世界のニコンに対してCCDユニットを提供していたというメーカーですが、その最終盤期のデジカメを手に入れました。千円で十分にお釣りが来るというシロモノですが、最終盤だから有終の美を飾る名機かと思いきや・・・汗

■ たしかに「かんたんスリムで」高性能?
昨年秋から冬にかけて、ガングリップタイプのムービーカメラのXacti DMX-CG10を手に入れ、SANYOって「意外にもいいじゃん」って驚いたので、いくつかSANYOのデジカメを探していた所、最終盤期の2010年12月に発売されたDSC-X1260がやすかったので、手に入れました。

フレコミは「かんたんスリムで高機能。1210万画素のキレイ撮りデジカメ」というもので、高精細写真1210万画素CCD搭載の3倍ズームのエントリークラスのコンパクトデジタルカメラ。撮像素子の大きさはなぜか公開されていないのですが、1/2.5型前後のクラス。バッテリーを充電してみてから使ってみましたが・・・汗。

撮影はオート撮影とシーン撮影だけで、たしかに「かんたん」に扱え、筐体も「スリム」なのですが、これで「高性能」とはこれいかに、というのも事実で、先に手に入れたザクティでもそうでしたが、兎に角シャッターチャージのタイムラグが長く、この時代の機種で「これはないでしょう」という高性能ぶりで、かつ、仕上がった画像に、赤いノイズが映り込み、赤いノイズに沿って色がにじみ、撮影された像(象)すらがゆがんでしまうというハチャメチャぶり。好天下では非常にクリアーかつビビッドな撮影をするのに、ちょっと曇ったところや室内では、こういうダメダメ具合が多く、こりゃあかんわーというのが正直な感想です。
ただ、発売当時、量販店や通販サイトで、5−7千円クラスで新品が発売されていたようなので、まあ、この価格ならばしかたないかな、とも思ったりです。

■ 「トイデジタルカメラ」と割り切って使うべし
でわ、簡単にスペックをおさらい。撮像素子は1210万画素CCDでなぜかサイズは非公開。レンズは光学3倍ズーム(デジタルズーム4倍)で35mmフィルム換算で35mm−105mm、開放F値は、3.1(ワイド端)ー5.9(テレ端)と全域で暗め、ただし実写した感覚としては、手ぶれ補正がよく効いているためか、低速シャッターにならざるを得ない局面においても、案外十分に耐える仕様だったことには驚きました。色具合の仕上がりの不具合を先に指摘しましたが、好天下ではシャープかつビビッドな仕上がりで、エントリークラスとしてはニジュウマル。文句ばかりをたれてきましたが、このカメラの利点を評価すれば、ビビッドな仕上がりがビビッドな色の過剰なまでののり具合で仕上がることが多く、それがかえってポップな「トイデジタルカメラ」という寸法です。トイデジタルカメラを購入すると全ての写りがすべてトイデジ風に仕上がりますが、このカメラだとまともな写真とトイデジ風の写真の両方が作れるので、それをお得と考え、アドバンテージとして理解するのがいいのではないかと思います。

ということで、以下作例。ISO100 オート撮影、ホワイトバランスオート、露出補正なし。筐体はiPhone6sで撮影。





↑ 広角端35mmで撮影(A)。


↑ (A)を光学望遠端105mmで撮影。


↑ 広角端35mmで撮影(B)。


↑ (B)を光学望遠端105mmで撮影。


↑ 広角端35mmで撮影(C)。


↑ (C)を光学望遠端105mmで撮影。


↑ 広角端35mmで撮影(D)。


↑ (D)を光学望遠端105mmで撮影。




Playing old digital Camera SANYO DSC-X1260 2011 | Flickr

デジタルカメラ DSC-X1260(R) 商品概要 | デジタルカメラ(三洋) | Panasonic



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覚え書:「悩んで読むか、読んで悩むか 培ってきた感性で独自の交流を 壇蜜さん」、『朝日新聞』2018年01月14日(日)付。



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悩んで読むか、読んで悩むか 培ってきた感性で独自の交流を 壇蜜さん

悩んで読むか、読んで悩むか
培ってきた感性で独自の交流を 壇蜜さん
2018年01月14日

80年生まれ。テレビ・ラジオなどで活躍。エッセーや初の短編小説を収めた『泣くなら、ひとり』など。

■相談 男友達ができない

 同性の友達がなかなかできません。姉が2人と女性に囲まれて育ちました。病気がちで、スポーツなどが満足にできず、女性が好きそうな事柄ばかりに関心を持ってしまいます。飲み会などで男子のノリに合わないなあと思うことも多いです。年をとると同性の友人は大切で、つながりも特別だと本などで読みます。男性の友人ができるコツを教えてください。
 (兵庫県、学生 男性・25歳)

■今週は壇蜜さんが回答します

 相談者さまには、森下裕美少年アシベ』をおすすめします。主人公の小学生アシベは、父の仕事の事情でこれまで慣れ親しんだ町を離れ、転校生として新たな町にやってきます。ヤンチャで天真爛漫(らんまん)なアシベに周囲はおっかなびっくりですが、徐々に皆が仲良くなっていく物語です。
 ストーリー中ではアシベがアザラシの赤ん坊「ゴマちゃん」と偶然出会い家族として迎えたり、運動が苦手な同級生を励ましたり、いじめっ子を懐柔したりと、新しい生活に馴染(なじ)んでいくまでの過程が詳細に描かれています。その他にもアシベの祖父が社長を務める会社の人間模様や、アシベの家の近くに店を構える中国料理店の営業風景……どこか社会的、国際的な生活観察漫画ですので、ぜひ「こういう世界もあるのか」と参考にしていただきたいのです。
 女性に囲まれて育ち、美術や音楽を愛する相談者さまのお姿は、確かに同性の方々から見ると近寄りがたいかもしれません。繊細そうだな、誘っても断られるかな……と、遠慮してしまいそうになるのは、男性も女性も同じこと。相談者さまは同性の仲間が出来にくい理由も、ご自分で分析され分かっていらっしゃるようですので、なおさら自己完結感があるのでしょう。これは同世代の方々からすれば羨(うらや)ましいことだと思います。20代半ばといえば、多くの方々が「自分はこれからどういう大人になり、社会と結びついていくのか」と腰を据えて考え始める時期だと思います。しばらくは周囲と己を比べ、非力さを嘆いたり批判に没頭したりと不安定な考えにのみ込まれがちになる、大人になってからの思春期だと私は思っています。だからこそ、焦って「同性の友人がいたほうがいい」という一般論を相談者さまのこれまで培ってきた感性に被(かぶ)せて落ち込まないでいただきたいのです。
 相談者さまは「相談者さま独自の交流」を体得するために前を向いたばかりです。無理をせず、アシベのようにマイペースで大(おお)らかな姿勢でいれば、慕う方々がきっと現れます。
    ◇
 次回は作家の山本一力さんが答えます。
    ◇
 ■悩み募集
住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記し、1月末までに郵送は〒104・8011 朝日新聞読書面「悩んで読むか、読んで悩むか」係、Eメールはdokusho−soudan@asahi.comへ。採用者には図書カード2000円分を進呈します。壇蜜さんと山本さん以外の回答者は次の通り(敬称略)。石田純一(俳優)、荻上チキ(評論家)、斎藤環精神科医)、穂村弘歌人)、三浦しをん(作家)、水無田気流(詩人)、吉田伸子(書評家)。
    −−「悩んで読むか、読んで悩むか 培ってきた感性で独自の交流を 壇蜜さん」、『朝日新聞』2018年01月14日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/column/2018011400015.html



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少年アシベ : 1 (アクションコミックス)
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覚え書:「悩んで読むか、読んで悩むか 宮尾登美子の生き方に触れては 山本一力さん」、『朝日新聞』2018年01月21日(日)付。

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悩んで読むか、読んで悩むか 宮尾登美子の生き方に触れては 山本一力さん

悩んで読むか、読んで悩むか
宮尾登美子の生き方に触れては 山本一力さん
2018年01月21日

48年生まれ。作家。『あかね空』で直木賞。最新刊は『牛天神』(文芸春秋)。

■相談 同僚女性との落差に心ふさぎ愚痴も

 夫が営む会社が業績不振に陥り、借金返済と生活のために、私はパート勤めに出ました。けれども、同僚女性との落差(旅行、グルメ、子や孫への援助)に心がふさぐことがあります。社会人になった3人の子どもたちがいろいろと助けてくれますが、周囲と比べて、どうしても愚痴が出てしまいます。こんな私を奮い立たせてくれる本、ありませんか。
 (岐阜県、パート女性・58歳)

■今週は山本一力さんが回答します

 当人が抱く悩みは、他人と比べられるものではない。そんなこと、悩みにもならないわよと軽く言われても、いささかも晴れぬものだ。
 悩みを解決できるのは、当人の気力だけだ。奮い立たせる源を本に求めれば、自分の力で立ち上がれる。
 宮尾登美子さんの『櫂(かい)』こそ格好の一冊だと、確信して薦めたい。
 物語には、ここでは触れない。長い話だが読み始めるなり「途中で本を措(お)く能(あた)わず」となるだろう。
 本書推奨の理由は、作者・宮尾登美子自身の生き方が、あなたを立ち上がらせると思うからだ。
 『櫂』は、宮尾さんが出自と向き合って書き下ろした作品である。
 しかし、いわゆる私小説ではない。宮尾さんが限られた私財を投じて世に出した、自費出版本だった。
 郷里・高知から上京したとき、宮尾夫妻は6畳ひと間に暮らした。そして文机代わりにミカン箱を使い、原稿を書き続けたという。
 注文があって書いたのではない。書かずにはいられなかったのだ。書くことで、自分を奮い立たせた。
 これは独断の私見だが、宮尾さんの原稿は、ご主人・宮尾雅夫氏が添削されたと思う。
 作中に描かれた高知市内、わけても物売り女性などの風俗描写は、そのまま史料たり得る。
 長い物語の整合性、時代背景などをチェックできたのは、高知新聞学芸記者だったご主人だけだろう。
 『櫂』は、宮尾記者と登美子さんとが一体となった宮尾登美子の著作だと、深い感銘を覚えている。
 編集ライターなどの限られた収入を投じてまで刊行した自家本。
 高知県立文学館には、布で装丁された原本が遺(のこ)されている。
 この本が目に留まり、筑摩書房が出版。太宰治賞も受賞できた。
 妻の才能、筆力を信じ、書き続けることを求めた夫。それに応えたことで、作家宮尾登美子が誕生した。
 あなたの目が内に向けば、できることは山ほどあろう。家族一丸を作り出せるあなたなら、読了時には気力もみなぎっているに違いない。
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 次回は書評家の吉田伸子さんが答えます。
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 ■悩み募集
 住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記し、1月末までに郵送は〒104・8011 朝日新聞読書面「悩んで読むか、読んで悩むか」係、Eメールはdokusho−soudan@asahi.comへ。採用者には図書カード2000円分を進呈します。山本さんと吉田さん以外の回答者は次の通り(敬称略)。石田純一(俳優)、荻上チキ(評論家)、斎藤環精神科医)、壇蜜(タレント)、穂村弘歌人)、三浦しをん(作家)、水無田気流(詩人)。
    −−「悩んで読むか、読んで悩むか 宮尾登美子の生き方に触れては 山本一力さん」、『朝日新聞』2018年01月21日(日)付。

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櫂 (新潮文庫)
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覚え書:「文庫この新刊! 東直子が薦める文庫この新刊!」、『朝日新聞』2018年01月07日(日)付。

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文庫この新刊! 東直子が薦める文庫この新刊!

文庫この新刊!
東直子が薦める文庫この新刊!
2018年01月07日
 (1)『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』 江國香織著 朝日文庫 821円
 (2)『英子の森』 松田青子著 河出文庫 670円
 (3)『お話はよく伺っております』 能町みね子著 文春文庫 788円
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 (1)は、すべて仮名で書かれた文章による幼児の体感する世界にはじまり、小学生、父母、老女、ピアノの先生など、主体を変えながら、共通する舞台での出来事が描かれる。同じ場にいても感じ方が異なる妙味が対話にも宿る。それは根源的な淋(さび)しさであり、豊かさに通じると思う。
 (2)は、母親の強い希望で高度な英語教育を受けてきた英子の現実が、シビアにつきつけられる。娘にすべての夢を託して生きる母親の心理を投影したような深い森の中に彼らの家がある、というシニカルなファンタジー仕立て。
 (3)は、街の中で耳にする様々な会話をキャッチし、独特の考察とともに、そこに漂う人間の物語が味わえるイラストエッセイ。いろいろな人のちょっとした癖を繊細に感知する視線は鋭くて優しく、おもしろくて哀(かな)しい。
 いつの間にか覚えた言葉を駆使して毎日当たり前のように使い分けているが、改めて考えてみると、奇跡的なことだと思う。言葉を使うということを改めて考えさせられた三冊である。
 (歌人、作家)
    −−「文庫この新刊! 東直子が薦める文庫この新刊!」、『朝日新聞』2018年01月07日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/column/2018010700007.html


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ヤモリ、カエル、シジミチョウ (朝日文庫)
江國香織
朝日新聞出版 (2017-11-07)
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英子の森 (河出文庫)
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松田 青子
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お話はよく伺っております (文春文庫)
能町 みね子
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覚え書:「折々のことば:852 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年08月23日(水)付。

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折々のことば:852 鷲田清一
2017年8月23日

 「悪」を名指しにすること……ではなく、われわれをつなぎ合わせる代わりに引き離し、ぶつけ合う「弱さ」が問題なのです。

 (リヒャルト・v・ヴァイツゼッカー

    ◇

 ナチスへの抵抗を呼びかけたミュンヘン大学生のグループ「白バラ」が封殺されてから50年後、当時のドイツ大統領は同大学でこう訴えた。市民は「私生活に籠もり」、文化人は「空論に傾斜する」。みなが「政治にうんざり」となり、連帯の糸が切断されている、社会のその脆弱さを克服せねばと。演説集『言葉の力」(永井清彦編訳)から。
    −−「折々のことば:852 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年08月23日(水)付。

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