人文学の有効性は批判としての有効性

        • -

 ソクラテスが審問されて裁判官の前で陳述したとき、彼は上級判事に自分を外国人と考えてくれるよう頼みました。彼は外国人ではなかったのですが。アリストテレスは外国の人でしたが、ソクラテスはちがいます。なぜ彼はそんなことをしたのでしょう? おそらく彼は社会的手腕をもって繁栄する支配者の作った世の中に同一化したくなかったのでしょう。もし人文学が資金集めをするだけなら、このような社会の成功者のメンタリティに自分を切り詰めるだけなのです。それではいったいどんな世界を私たちは望んでいるのでしょうか? 人文学の有効性は批判としての有効性なのです。人文学はいかに小さくとも社会に変革をもたらしうるのです。これがそれ自体とても有益なレディングズの見方に私が喰え和えたいことです。そこは、もはや合意のためのコミュニティなど存在する場ではありません。記者会見でも述べましたように、公共的な知識人はもはや政策立案者に向かって語ってはいません。この点で私は愛する友であったエドワード・サイードとも意見が少し違っています。彼はアメリカの人文主義の中に自己を見出し、アメリカの大学を最後のユートピアであると考えていたわけですが。
 私がレディングズに対して真に問題だと思うのでは、次のような現状分析に彼が鈍感なことです。私はいまでもジェンダーの仕事と女を同一視する人たちに次々と出会います。そんな人たちは、この大学にはいまや多くの女性がいるのだから、ジェンダー研究への関心もあるだろうなどと言います。そうした考えはもう捨てなくてはならないと私は思います。
 カントと反省的判断については私の本『ポストコロニアル理性批判』を参照してください−−そこで私は、自分の見るところその反省的判断が排除しているものを指摘しています。
    −−G.C.スピヴァク(本橋哲也訳)「人文学における学問的アクティヴィズム」、(鵜飼哲監修 本橋哲也・新田啓子竹村和子中井亜佐子訳)『スピヴァク、日本で語る』みすず書房、2009年、46-47頁。

        • -


月曜は短大で哲学の講義があるので、前日は早く寝るべきなのですが、市井の仕事が済んで深夜に帰宅してから、ひといきついて……、それから賢者とこ1時間ばかり電話会議をしているとすっかり、早朝w

さくっと2時間だけ寝てから、準備して大学へ向かいましたが、通信教育部の先の秋期スクーリングで担当させて戴いた学生さんが、

「月曜は、大学で聴講しているんで・・・」

……と話を伺っておりましたので、

「授業前に少し時間ありますから・・・」

……という具合で、

大学についてから、少しの時間だけ、カフェテリアにてお茶。
※ もう少し早めに自宅を出るべきでした、すいましぇん。

哲学に興味があるということで、学部の授業を聴講されたり、自分で研さんを進めているということで、短い時間でしたが、かな〜り、濃い話をできたことが幸いです。

「哲学とは何か」というアリストテレス(Aristotle,384 BC−322 BC)の定義から始まって、エックハルトMeister Eckhart,1260?−1328?)に寄り道して、最後は正義論を支える形而上的問題へ。

また、時間のあるときにセッションしましょうw

そんでもって授業を全力投球してから・・・

このところ定番の「懇談会」?

細かい議論は措きますが、宗教をめぐる学生さんの素朴な質問と、これまたこ1時間ばかり対話。

別に何を示唆したり、答えを提示したわけではありません。
しかし、いろんなひとびとと言葉をかわすなかで、現状に対する違和感というものをそのまま放置してしまうとトンデモナイことになってしまうなアというところは至極実感した次第です。

まあ、だからこそ、世に抗ってきた哲学の伝統?をきちんと、共々に丁寧に学んでいかなければならないということも同時に実感。

いや、まじで、来年度あたりから、大学というようなアカデミズムという枠組みにとらわれず、勉強会とか読書会というような場をつくっていかなきゃまじでやべえなというのを実感した次第です。

つうことで、今日は早々に沈没します。

何しろ、寝不足+脳みそフル活動+(済んでからの)市井の職場で労務者⇒ヘロヘロ、ということで、細君が買っておいてくれた『出羽櫻 誠醸辛口』(出羽櫻酒造(株)、山形県)でいっぺえやりながら寝ます。

アテは、尊敬する大先輩のジャーナリスト・作家の東晋平先生おすすめの、「フライパンでソフトさきイカをサラダ油で軽く炒めると美味。アツアツを七味マヨネーズで」というのを作ってみました!

生憎、ヘロヘロでしたので記憶違いにて、皮付きさきいかでやったのですが、いやはや、マジで乙です。

油を変えて……オリーブオイル胡麻油等々……やってもいけそうですネ

⇒ 画像付版 人文学の有効性は批判としての有効性: Essais d'herméneutique

スピヴァク、日本で語る
G・C・スピヴァク
みすず書房
売り上げランキング: 502450