哲学・倫理学(現代)

日記:核兵器禁止条約に反対した公明党を、核兵器廃絶運動をする創価学会が支援。理想を憧憬し引き裂かれ悩む会員はどれほどいるのだろうか。

広島市の松井一実市長が「平和宣言」を読み上げた。7月に国連で採択された核兵器禁止条約に触れ、日本政府に「核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組んでいただきたい」と求めた。続いてあいさつした安倍晋三首相は、条約に言及しなかった。https:/…

日記:宮田光雄 ローマ書一三章と南原繁『国家と宗教』(岩波書店、1942年)

- 同じ年の秋(引用者注……大石兵太郎『君主の神的権威』が出版された一九四二年)、南原繁『国家と宗教』が出版された。ローマ書一三章に関しては、ここ「から、直ちに国家権力の宗教的認証を与えたものとなし、これによって、たとえば後世の《君権神授説》…

日記:今、必要とされる「グローバルな市民社会と市民宗教の可能性」

- たとえ国家レベルでも、連帯は脆弱であり、人間は恐怖から敵とされた者に対して負の連帯をするほうが容易である。たしかに世俗的な哲学には、そのことを扱う方法がある。しかし私が論じてきたように、真に地球的規模での連帯の感覚を強化して一般化する能…

覚え書:「インタビュー:歴史の巨大な曲がり角 社会学者・見田宗介さん」、『朝日新聞』2015年05月19日(火)付。

- インタビュー:歴史の巨大な曲がり角 社会学者・見田宗介さん 2015年05月19日 深刻な環境問題を抱えつつも、経済成長を求め続ける――。私たちの文明が直面する根本的なジレンマに対して、日本を代表する社会学者・見田宗介さんは「ならば成長をやめればよい…

日記:「9条の下、専守防衛を堅持」「公明が厳格な歯止め」、『公明新聞』2015年05月15日(金)付。え?

歴史の記録として2015年5月15日付の『公明新聞』と『聖教新聞』の安保法制に関する記事を張っておく。 「9条の下、専守防衛を堅持」「公明が厳格な歯止め」(公明新聞、そして、聖教新聞も右に倣え)だそうな。これ虚構新聞もしくはソ連時代のプラウ…

日記:「まったく個人的であり、だからこそ奥底で普遍に通じる、そんな力が」

ちょうど赤坂真理さんの『愛と暴力の戦後とその後』(講談社現代新書)読み終えた。個人の記憶との対話から戦後の歩みを読み解く秀逸な論評。「まったく個人的であり、だからこそ奥底で普遍に通じる、そんな力が」と結ばれる。先験的な理念から批判する大上…

覚え書:「寄稿:憲法という経典 作家・島田雅彦」、『朝日新聞』2015年05月02日(土)付。

- 寄稿:憲法という経典 作家・島田雅彦 2015年05月02日 日本が自国のことのみならず、他国の戦後復興、人道支援にも貢献し、「世界の赤十字」たらんとしてきたことで獲得できた世界的信用は大きな財産である。外国人が日本人に対して抱く好印象もまた、平和…

日記:そもそもムスリムの女性のスカーフやヴェールが、「イスラームという宗教のシンボル」であるか

- フランスもまた、9.11以降の反イスラーム感情をレイシズムとは把握できない国のひとつである。この国では1990年代の初めから、ムスリムの市民が「イスラーム性」を公的空間で示すことに大きな苛立ちがあった。具体的には、公立の中学校やリセに、…

日記:歴史の編集可能性:ベンヤミン

- 歴史の編集可能性 ベンヤミンはさまざまな角度から映画というメデイアの画期的な新しさをここで確認しているのですが、彼にとって映画が体現していた重要な機能に、編集可能性があります。映画を作る場合、まずはラッシュ・フィルムというものが作成されま…

日記:「なぜ人を殺してはいけないんですか?」と「なぜあなたを殺してはいけないんですか?」という地平の違いから見えてくるもの

- 力をもらうということ たこもまたそういう盛りに、「めいわくかけて ありがとう。」という言葉を残したのだった。「めいわくかけて すみません。」ではなく「ありがとう」。これはそうした寂しい光景のなかでこそ、ぼそりつぶやかれる言葉なのだろう。 め…

覚え書:「村上春樹さん、時代と歴史と物語を語る みんな一生懸命生きている」、『毎日新聞』2015年04月19日(日)付。

- 村上春樹さん、時代と歴史と物語を語るみんな一生懸命生きている(写真キャプション)村上春樹さん=ロンドンで昨年夏、村上春樹事務所提供 −−読者の質問にメールで直接答えるサイトが、大変な質問数とか。 村上 多くて1万ぐらいかと予想していたら、4倍…

覚え書:「こちら特報部:歴史修正主義の教科書検定 政権の意向 侵食 広がる自主規制」『東京新聞』2015年04月16日(木)付。

- こちら特報部歴史修正主義の教科書検定政権の意向 侵食広がる自主規制 関東大震災朝鮮人虐殺 「殺害は数千人」→「数に通説ない」アイヌ差別の旧土人法 土地「取り上げ」→「あたえ」沖縄戦住民虐殺 スパイ扱い「殺害」→「処罰」 (写真キャプション)清水書…

覚え書:「ニュースの追跡:安倍政権の意に添わぬ 海外メディア・識者 『政府から圧力』相次ぐ告白」、『東京新聞』2015年04月14日(火)付。

- ニュースの追跡 安倍政権の意に添わぬ 海外のメディア・識者 「政府から圧力」相次ぐ告発特派員記事で本社へ抗議 識者「信用できない」耳打ち(写真キャプション)日本外国特派員協会の機関誌「NUMBER1 SHIMBUN」最新号。ゲルミス記者の記事が掲載されてい…

日記:「私にも言論の自由がある」と居直り、異論排する安倍首相と不愉快な仲間たちの手口はまさに「ファシスト」

『朝日新聞』(2015年4月18日付)での報道「自民、異例の議事録修正要求 福島氏の『戦争法案』発言」に驚いてしまった。政府が提出を目指す安全保障関連法案を参院予算委員会で福島瑞穂氏(社民党)が「戦争法案」だと述べたことに対する難癖以上の圧力でし…

覚え書:「松尾貴史のちょっと違和感 『粛々と進めるだけ』 『問答無用』と権力を使う不快さ」、『毎日新聞』2015年04月12日(日)付(日曜版・日曜くらぶ)。

- 松尾貴史のちょっと違和感 「粛々と進めるだけ」 「問答無用」と権力を使う不快さ 沖縄県の翁長雄志知事が再三再四、いやもっと呼びかけていただろうか、とにかくなかなか実現させなかった会談にやっとの事で菅義偉官房長官が応えたようだ。しかし、やはり…

日記:単に同情心とか感受性の鋭敏さとかに帰して片づけきれない、人間性の本然の成り立ちに根ざした深い平衡感覚(シモーヌ・ヴェイユ)

- シモーヌ・ヴェイユの伝記については、現在では日本語で書き下ろされたものも何冊かあり(巻末文献表参照)、リースやダヴィなど外国の研究書の翻訳も出版されて、この国の人々にもだいぶ知られるようになったが、それらのどの本にも好んで引用されている…

覚え書:「保阪正康の昭和史のかたち [八紘一宇]『世界支配』正当化の理念」、『毎日新聞』2015年04月11日(土)付。

- 保阪正康の昭和史のかたち[八紘一宇] 「世界支配」正当化の理念 いささかでも昭和史に関心をもっていれば、「八紘一宇」という語にふれると、瞬時にして2、3の史実には思い至る。国会でこうした語が吐かれたと知ったとき、まさか今は昭和10年代では…

日記:レーヴィットの「日本哲学」批判

- レーヴィットの「日本哲学」批判 その歪みを最初に指摘したのは、ナチスの台頭とともにそれまで教鞭をとっていたマールブルク大学を追われ、日本へ亡命して、五年間東北帝国大学で哲学とドイツ文学を講じたあと、日独が枢軸同盟を結ぶことになり、米国へと…

覚え書:「あの人に迫る:六車由実 介護民俗学者 人生の豊かさを聞き書きで知る」、『東京新聞』2015年03月22日(日)付。

- あの人に迫る 介護民俗学者 六車由実さん 人生の豊かさを聞き書きで知る[あなたに伝えたい]その人の人生を知ることで、絶対にケアの仕方が変わります。互いに互いを認め合えるようになります。 民俗学者であり、デイサービス「すまいるほーむ」(静岡県…

覚え書:「特集ワイド:続報真相 戦意発揚スローガン『八紘一宇』国会発言 問題視されない怖さ」、『毎日新聞』2015年03月27日(金)付夕刊。

- 特集ワイド:続報真相 戦意発揚スローガン「八紘一宇」国会発言 問題視されない怖さ 毎日新聞 2015年03月27日 東京夕刊 16日の参院予算委員会で、自民党の三原じゅん子議員が戦争遂行のスローガンに使われた言葉「八紘一宇(はっこういちう)」を肯定的に…

拙文:「読書 大賀祐樹『希望の思想 プラグマティズム入門』筑摩選書 連帯と共生への可能性を開く」、『聖教新聞』2015年03月28日(土)付。

- 読書 希望の思想 プラグマティズム入門 大賀祐樹 著連帯と共生への可能性を開く 現代思想の諸潮流の中でプラグマティズムほど不当な扱いを受けたものはない。実用主義の訳語は早計すぎて“浅い”という印象をあたえる。著者はパース、ジェイムズ、デューイと…

覚え書:「異議あり:松陰の『行動』への賛美、実は危うい 儒教思想を研究する小島毅さん」、『朝日新聞』2015年03月19日(木)付。

- 異議あり:松陰の「行動」への賛美、実は危うい 儒教思想を研究する小島毅さん 2015年03月19日(写真キャプション)小島毅さん=東京都文京区、西田裕樹撮影 今年の大河ドラマ「花燃ゆ」は、吉田松陰の松下村塾が舞台。安倍晋三首相も、地元・長州が生んだ…

日記:学問の本趣意は読書のみに非ずして精神の働に在り、此働を活用して実地に施すには様々の工夫なかる可らず

金曜日は、所用があってひさしぶりに慶應義塾へ戻る。 用事をすませてしばしキャンパスを散策しつつ、学生時代のことを思い出したりしておりました。さて、昨今、教育再生をめぐる議論で「人文より実学」だとか「グローバル云々」で「即戦力」を大学教育に求…

拙文:「読書 小川仁志、萱野稔人『闘うための哲学書』講談社 思索の言葉めぐる対談集」、『聖教新聞』2015年02月28日(土)付。

- 読書 闘うための哲学書 小川仁志、萱野稔人 著思索の言葉めぐる対談集 プラトンやデカルトといった古典的著作からフーコーやロールズなど思想史を刷新する現代の名著まで22冊の哲学書を取り上げ、気鋭の哲学者2人が、その魅力を縦横に語った対談集であ…

覚え書:「引用句辞典 トレンド編 [学者・研究者の真の快楽とは] 鹿島茂」、『毎日新聞』2014年12月28日(日)付。

- 引用句辞典 トレンド編 学者・研究者の真の快楽とは 鹿島茂教育行政に求めたい 「真理追究」への導き兎に角に当時の緒方の書生は、十中の七、八、目的なしに苦学した者であるが、その目的のなかったのが却って仕合で、江戸の書生よりも能く勉強が出来たの…

日記:マリオ・バルガス=リョサの『世界終末戦争』(新潮社)を「読む」ということ

先週の金曜日は授業を終えてから月一の読書会へ。毎月一回、コロンビア大学の教養教育カリキュラムの課題図書を取り上げ、「読む」という集いをしておりますが、この秋は番外編として参加者おすすめの1冊をそれぞれとりあげてきましたが、今回はマリオ・バ…

書評:想田和弘『熱狂なきファシズム 日本の無関心を観察する』河出書房新社、2014年。

想田和弘『熱狂なきファシズム』河出書房新社、読了。ファシズムに必然するのが狂気的熱狂だ。しかし著者は今日のファシズムを「じわじわと民主主義を壊していく」低温火傷という。「ニッポンの無関心を観察する」(副題)と、憲法改正、特定秘密保護法、集…

覚え書:「論壇時評:孤独な本 記憶の主人になるために 作家・高橋源一郎」、『朝日新聞』2014年11月27日(木)付。

- 論壇時評:孤独な本 記憶の主人になるために 作家・高橋源一郎 2014年11月27日 (写真キャプション)高橋源一郎さん=小玉重隆撮影 去年、韓国で出版され、「元慰安婦の方たちの名誉を毀損(きそん)した」として、提訴・告訴された、朴裕河(パクユハ)の…

日記:先験的に中立や公正が実在していると素朴に考えていることの「きつさ」

- 衆院選:自民、細かに「公平」要請 選挙番組構成でTV各局に 毎日新聞 2014年11月28日 東京朝刊 自民党がNHKと在京民放テレビ局に対し、選挙報道の公平中立などを求める要望書を渡していたことが27日分かった。街頭インタビューの集め方など、番組の…

書評:ジョン・デューイ(阿部齊訳)『公衆とその諸問題 現代政治の基礎』ちくま学芸文庫、2014年。

ジョン・デューイ(阿部齊訳)『公衆とその諸問題 現代政治の基礎』ちくま学芸文庫、読了。飛躍的に複雑化した機械化と画一化を特徴とする現代社会において、人間の息吹汲み取る民主主義は果たして可能なのか。本書はリップマンが『世論』『幻の公衆』で提起…