生についての省察から、生活経験が成り立つ




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 生についての省察から、生活経験が成り立つ。種々の衝動や感情が私たちの内で束ねられ、それが周囲の世界や運命と遭遇することによって惹き起こされる個々の出来事は、生活経験において対照的で一般的な知識へととりまとめられる。人間の本性が常に同一であるのと同様に、生活経験の根本特徴も万人に共通のものである。人事の無常と、その無常の内にありながらも一国を享受する私たちの力。強靱な性質や偏狭な性質の持ち主たちにおいて、自らの実存の強固な足場を築き上げることにより、かかる無常を克服せんとする傾向。更には柔軟で思い煩いがちな性質の持ち主たちの内にある、かかる無常に対する不満、そして不可視の世界の内で真に持続せるものへの憧憬。あるいは幻想の解体するまでは、あたかも夢のように想像心性を創り出す情熱の突き進むような力。このようにして生活経験は、それぞれの個人において様々な仕方で形成されている。しかし一切の人間において、その生活経験の共通の底層をなしているのは偶然の力についての直観、すなわち私たちが所有し、愛し、あるいは憎んだりする一切のものを腐敗させる力についての直観であり、私たち人間の一人一人に対して、生の意義と意味を全能なまでに規定してしまう死と、絶えず私たちが向かいあっているという直観である。
 個人と個人とを結ぶ連鎖の内に一般的な生活経験が成立する。
    −−ディルタイ(久野昭監訳)『世界観学』以文社、1989年、121−122頁。

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ふう。
締め切りを10日すぎてようやく原稿が完成。
担当者様、ご迷惑をおかけしまして申し訳ございませんでした。

ご迷惑ついでに予定校より5枚ほどオーバーもしちゃっているのですが、、、ご寛恕のほどを。

ともかく・・・生活経験の成り立つ世界というのは、どの人においても大変な世界ですね。

「トホホ……」と同時に「ふう」です。

さて、次の仕事にとりかかりますかw





⇒ ココログ版 生についての省察から、生活経験が成り立つ: Essais d'herméneutique


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