覚え書:「今週の本棚:『橋下徹現象と部落差別』=宮崎学・小林健治・著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。
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今週の本棚:橋下徹現象と部落差別
宮崎学・小林健治著
(にんげん出版モナド新書)
橋下徹・大阪市長の出自を取り上げて論じた『週刊朝日』の緊急連載は、橋下氏の抗議などを受けて中止に追い込まれた。そうした報道の問題点について、作家の宮崎学氏と部落解放同盟で差別表現事件に長年取り組んできた小林健治氏の対談が収録されている。
出自を根拠に人格を攻撃するという考え方そのものの問題をさまざまな角度から繰り返し強調。橋下氏が圧勝した2011年の大阪市長選などにも触れている。
2人はいずれも橋下氏の政治姿勢に関しては批判的な論者。だが、この問題に対する橋下氏の対応については、一人で敢然と核心をついた反論だったと評価する。
一方で、表現の自由や公人のプライバシーの視点から論評した多くの知識人に対しては、問題の本質を理解していないとして失望を隠さない。さらに部落解放同盟の対応についても、政治的思惑を優先させて不十分な抗議にとどまったと指摘している。
過去の事例も取り上げられ、部落差別問題への理解が深まる一方、言論界の現状に対する2人の強い危機感も伝わってくる。(也)
−−「今週の本棚:『橋下徹現象と部落差別』=宮崎学・小林健治・著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。
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橋下徹現象と部落差別 (モナド新書 6)
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宮崎 学 小林 健治
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