拙文:「読書 小川仁志、萱野稔人『闘うための哲学書』講談社 思索の言葉めぐる対談集」、『聖教新聞』2015年02月28日(土)付。
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思索の言葉めぐる対談集
プラトンやデカルトといった古典的著作からフーコーやロールズなど思想史を刷新する現代の名著まで22冊の哲学書を取り上げ、気鋭の哲学者2人が、その魅力を縦横に語った対談集である。
哲学とは何か−−。それは「ものごとの本質を批判的、根源的に探究していく学問」(小川仁志)のことであり、具体的には「言葉を使って探究する」(萱野稔人)人間にとって最も身近な営みだ。哲学とはこんなにも面白いものかと驚かされる。哲学と聞けば難しそうな学問だとか、生活に関係ないと思い込む人にこそ手にとってほしい。
本書の魅力は、2人の対談者がそれぞれ理想主義者(小川)、現実主義者(萱野)と対照することだろう。人間をめぐり、理想主義は現実の超克を展望し、現実主義は人間存在の条件に注目する。一冊のテキストに関する2人の議論は、一つの解釈に収まりきらない“英知の魅力”を召喚する。
「哲学を学ぶことはできない、哲学することを学びうるだけである」とはカントの言葉だが、本書はその実践といってよい。思索の言葉と向き合い、自らの考え方を鍛えることで、“今、闘う”ことが可能になる。(氏)
●講談社現代新書・1080円
−−「読書 小川仁志、萱野稔人『闘うための哲学書』講談社 思索の言葉めぐる対談集」、『聖教新聞』2015年02月28日(土)付。
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闘うための哲学書 (講談社現代新書)
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