日記:積極的平和主義を「後方支援」するのみならず歴史修正主義に積極的に荷担する公明党

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私自身、戦後社会の現実政治における公明党の歴史的役割は全否定するつもりは毛頭無い。むしろ、大企業に属さない、労働組合にも守られない無名の庶民の権利を守り、穴を穿つような挑戦には拍手を送りたいし、日中国交回復の先鞭を付けたその歩みは高く顕彰されてしかるべきであると考える。

その公明党の三本柱は「教育」「福祉」「平和」だ。

しかし、教育は教育基本法の改悪によって後退し、福祉に関しても生活保護を巡る自民党のバッシングの尻馬に乗り、平和に関しても「集団的自衛権」を「閣議決定」で「容認」してしまうという立憲主義の基本を毀損するというお粗末な現状。

三つの看板はもはや客寄せパンダとしても機能不可能なほど、その結党の精神から逸脱している。

しかしである。もっとも大切にしなければならないのは、やはり、結党の精神の神髄としての「平和」の根幹となるその歴史認識であろう。

富山県議会がいわゆる「慰安婦問題に関する適切な対応を求める意見書」を自民党と一緒になって公明党強行採決をしたというニュースは、「平和」の根幹となる歴史認識を覆すことであり、ニュースを目にして驚きを隠せなかった。

法律や行政のテクニカルなアプローチにおいて自民党に同調すること自体は否定しない。連立を組む以上唯々諾々というのはありえるからだ。

しかし、同調できない一線こそ平和主義の根幹となる先の大戦の経験とその認識であろう。

公明党の平和主義の淵源は、戦前の創価教育学会に由来する。創価教育学会の歴史とは天皇軍国主義に弾圧された血なまぐさい歩みそのものである。初代会長・牧口常三郎、二代会長戸田城聖(戦後、当時、理事長)は共に治安維持法違反で検挙され、牧口は獄死している。

いわば、公明党の原点となるその先達者は、従軍慰安婦の方々と同じく日本の軍国主義の「犠牲」にあっている。

このことをどう考えるのだろう。

※めんどくさいの一言だけ言及しておくと、「適切な対応を求める意見書」は、いわゆる『朝日新聞』の吉田証言誤報を軸に「従軍慰安婦そのものがなかった」と歴史修正主義を図る日本会議歴史認識だ。しかし河野談話にせよ度重なる国連の勧告にせよ、吉田証言に「強制制」を根拠にはしていない。まとまな歴史学者も「吉田証言」をそもそも相手にしていない。『朝日新聞』の謝罪のタイミングは悪かったことは否定できない。しかし、その尻馬に乗り歴史認識を歪めてしまうことに連動するとはこれいかに……という話だ。

自民党の武田慎一議員は日本会議系という。右派宗教団体のロンダリング組織・日本会議が目指すのは戦前回帰だ。戦前に弾圧された創価学会公明党がこうしたネトウヨメンタリティーと同調することに戦慄しなければならない。

しかし、しかし、だ。

日蓮没後、日蓮の高弟の主流派は、弾圧を恐れ、日蓮門下と名乗るのをやめ、「天台沙門」と自称したそうな。過去を顧みない連立ボケの果てに、福祉も教育も、そして平和主義も積極的に放擲していく……これが公明党の積極的平和主義??

アホか。

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県議会:慰安婦問題、意見書可決 自民、公明、無所属が賛成 /富山
毎日新聞 2015年03月17日 地方版

 県議会は16日開いた2月定例会本会議で、「慰安婦問題に関する適切な対応を求める意見書案」を賛成多数で可決した。自民の他、公明と無所属の議員が賛成。民主、社民、共産の3会派は反対した。

 提案理由の説明で、武田慎一県議(自民)は慰安婦問題を巡り朝日新聞が報道したいわゆる吉田証言により、「日本は国益を失っている」と主張。事実の周知のための広報や国際社会への積極的な発信を▽教科書が史実に基づき記述されるよう対応を▽戦後70年談話は未来志向で−−などと求めた。

 反対討論で火爪弘子県議(共産)は、県内の9市民団体から各会派などに意見書案の否決を求める申し入れがあった点に触れた後、「吉田証言は(慰安婦問題で旧日本軍の関与を認めた)河野談話の根拠とされておらず、意見書案は筋違い。こそくな表現で歴史的事実を葬り去ろうとし、強い怒りを感じる」と批判した。

 2月定例会はこの他、2015年度一般会計予算案や、ヘイトスピーチへの対策強化を求める意見書案など計93件を可決、閉会した。【成田有佳】
    −−「県議会:慰安婦問題、意見書可決 自民、公明、無所属が賛成 /富山」、『毎日新聞』2015年03月17日(火)付。

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http://mainichi.jp/area/toyama/news/20150317ddlk16010346000c.html


歴史認識を巡るあやうい議論と運動に関する関連記事

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【千葉】

慰安婦「強制の根拠崩れた」 習志野市議会も意見書

2015年3月20日


 習志野市議会は十九日、従軍慰安婦問題に関し、政府に適切な対応を求める意見書を賛成多数で可決した。朝日新聞が昨年夏、慰安婦報道の一部を取り消したことなどから「強制連行の根拠が崩れた」とし、国民や国際社会に「正しい歴史認識」を周知・発信することを求めている。我孫子市議会もこの日、同趣旨の意見書を可決した。昨年十二月には県議会や船橋市議会も可決。安倍晋三首相が今夏に発表する戦後七十年談話への影響を心配する声も出ている。 (服部利崇)
 習志野市議会が可決した意見書は、旧日本軍が慰安婦を強制連行したとする故吉田清治氏の証言を朝日新聞が虚偽と判断し、記事の一部を取り消したことに加え、一九九三年の河野洋平官房長官談話に対する政府検証で「強制連行の根拠が崩れた」と主張。「国内外において不当におとしめられた日本の名誉と信頼を早急に回復する」必要性を指摘した。
 その上で「客観的事実に基づく正しい歴史認識を国際社会に向けて多言語で積極的に発信する」「国内外の教科書が史実に基づき正確に記述されるよう対応する」ことを求めている。
 市議会総務委員会(七人)は九日、市民からの同趣旨の陳情を採択。保守系議員が十九日、意見書案として本会議に議員提案した。定数三〇のうち議長を除く二十九人で採決した結果、十五人が賛成し可決した。
 本会議では反対意見も相次いだ。女性市議は「女性が強制的に兵士の性の相手をさせられた。この事実は『強制連行』があったかなかったかという違いでは免罪されない」と批判。男性市議は「吉田証言が虚偽だから、慰安婦問題がなかったかのような論理展開は事実に反する」と指摘した。津田沼九条の会世話人の穴山孝さん(72)は「こうした地方議会の動きを安倍政権が利用し、河野談話を無視した内容の七十年談話を出すのではないか」と懸念している。
◇70年談話に影響も
 モンタナ州立大社会学・人類学部の山口智美准教授(文化人類学)の話 複数の議会が意見書を可決した背景には、朝日新聞攻撃に絡めて慰安婦問題そのものを攻撃したい右派勢力の意向が強く反映されている。この動きは今後も全国で強まるのではないか。
 安倍首相が今夏に発表する戦後七十年談話への悪影響も懸念される。意見書の中身が「国民の声」「草の根の意見」として談話に反映される可能性があるからだ。意見書が国内外の教科書の内容や、日本の外務省の外交姿勢に圧力をかけている点も心配だ。
    −−「【千葉】慰安婦「強制の根拠崩れた」 習志野市議会も意見書」、『東京新聞』2015年03月20日(金)付。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20150320/CK2015032002000146.html



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