覚え書:「書評:ふたつの講演―戦後思想の射程について [著]加藤典洋」、『朝日新聞』2013年02月17日(日)付。
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ふたつの講演―戦後思想の射程について [著]加藤典洋
[掲載]2013年02月17日 [ジャンル]社会
鶴見俊輔や吉本隆明らの「戦後思想」は圧倒的な外来思想への抵抗だった。それを受け継ぎ、その先に出るには、「戦後」がなくても善悪を考えられる足場を築くことだ。9・11は「戦後」でなく「世界」という枠で考える必要を感じさせ、3・11で世界は、資源や環境の「有限性」から考えなければならない「リスク近代」に入った−−。
『敗戦後論』などで過去とのつながりを考えてきた著者が、未来とのつながりも考えるようになった。その道筋が大まかに描かれている。ゼロからはじめ、世界に向きあうこと。「いま、私は、何か小学一年生のような言い方になってしまうのですが、世界のことを考えたいと思っています」という文が印象的だ。
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岩波書店・1785円
−−「書評:ふたつの講演―戦後思想の射程について [著]加藤典洋」、『朝日新聞』2013年02月17日(日)付。
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