書評:中西竜也『中華と対話するイスラーム 17−19世紀中国ムスリムの思想的営為』京都大学学術出版会、2013年。




中西竜也『中華と対話するイスラーム 17−19世紀中国ムスリムの思想的営為』京都大学学術出版会、読了。俗にイスラームは商人の宗教といわれたように、在中ムスリムイスラーム勃興期に起源をもつ。本書は、アジア各地からやってきたムスリム移民の土着内開花(「中国的イスラーム」)を素描する。

中国内ムスリムの危機は明朝。「回回は天下に遍あまねし」から一転して、外国人ムスリムの入国が制限される。結果、在中ムスリムは、中国の伝統的思想や中国社会の現実との対応を迫られる。独自性保持と協調が課題となる。

本書の圧巻はイスラームの「漢訳」における中国伝統思想との対話、そして、近世中国内地におけるスーフィズム(ペルシア語イスラームの中国受容含む)を明らかにした点である。画一的なムスリム認識を原典に即して一新する快著。





京都大学学術出版会:中華と対話するイスラーム





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