覚え書:「特定秘密保護法に言いたい:公文書管理に懸念−−元編集者・竹内修司さん」、『毎日新聞』2014年04月13日(日)付。

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特定秘密保護法に言いたい:公文書管理に懸念−−元編集者・竹内修司さん
毎日新聞 2014年04月13日 東京朝刊

 ◇竹内修司さん(77)

 特定秘密保護法の是非は、米国のアジア・太平洋戦略に日本がより深く関与すべきか、という大局から論議すべきだ。

 米国防総省は2010年「エア・シー・バトル構想」を発表した。名指しは避けつつも中国の軍事的脅威の国際的封じ込めを課題にしている。米国がアフガニスタンイラク戦争で経済的に疲弊している中、アジアの同盟国の軍事力により依存しようという構想だと言える。日本政府・自民党は呼応する形で、集団的自衛権の行使容認、武器輸出三原則の緩和とともに軍事機密の共有を可能にする秘密保護法が必要だと考えたのだろう。政府は安保・外交政策見直しの観点から法の必要性を明示すべきだったが、あいまいなままごり押しした。

 反対する側も対抗しうる構想を練り、法が不要だとする根拠として主張すべきだった。

 この法がさまざまな問題をはらむのは指摘される通りだ。米国の国立公文書館連邦政府から独立し、長官には公文書を政府から移管する権限があり、長官の許可なしでは公文書の破棄もできない。「公文書の保存は民主主義の根幹」という考えが浸透している。日本の法では、公文書館に移管するかどうかは関係省庁任せだ。だから、米国の公文書館で日米の密約が公開されても、政府が「日本には存在しない」と強弁することも起こる。公文書管理のルールや文化が確立していない中、この法が施行されることに強い懸念を抱かざるを得ない。【聞き手・青島顕】=随時掲載

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 ■人物略歴

 ◇たけうち・しゅうじ

 1936年生まれ。「文芸春秋」で雑誌、書籍を編集。同社常務を経て2007年まで文教大情報学部教授。著書に「幻の終戦工作」など。
    −−「特定秘密保護法に言いたい:公文書管理に懸念−−元編集者・竹内修司さん」、『毎日新聞』2014年04月13日(日)付。

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