書評:茨木のり子(谷川俊太郎編)『茨木のり子詩集』岩波文庫、2013年。

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言葉が多すぎる
というより
言葉らしきものが多すぎる
というより言葉と思えるほどのものが無い

この不毛 この荒野
賑々しきなかの亡国のきざし
さびしいなあ
うるさいなあ
顔ひんまがる
    −−茨木のり子「賑々しきなかの」、谷川俊太郎編『茨木のり子詩集』岩波文庫、2013年、202頁。

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谷川俊太郎選『茨木のり子詩集』岩波文庫、読了。「茨木のり子の詩を読むのに、構えはいらない。そこに差し出された作品を、素手で受け取り、素直に読んでみるに限る」(化水音たかく 解説に代えて・小池昌代)。じわじわくる。極めて個人的経験の表象がここまで普遍的に揺さぶりをかけてくるとは。魂消た。

言葉を弄ぶ者どもよ、戦慄せよ。 







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