日記:「日本の名誉回復」には何が必要なのか

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『世界』(岩波書店)2月号掲載の「『慰安婦』問題 『日本の名誉回復』には何が必要なのか」(R・ツェルナー・ボン大学)読む。

歪んだ問題の所在と日本社会の自己認識と国際社会の理解との乖離を、わずか6頁でその要点をまとめた寄稿。安倍首相の悲願はむしろ日本の国際的イメージの低下招くと指摘しています。
※それでもだいぶ相手さんに譲った議論なんですけどね

なぜか。

1)学術の世界で「吉田証言」は歴史的価値がなく論拠として使用されていない(朝日の記事撤回で「従来の研究内容が見直されることはあり得ない」。

2)「性奴隷」と「強制」に関する国際社会の常識(例えば人身売買も含む)を理解していない。人権問題や倫理の議論からの離脱は日本の孤立を招く。

3)河野談話から(お詫びの手紙を出し続けた)小泉純一郎に至る歴代内閣の「良心的な態度」は国際社会から高く評価されてきた。その取り消しは政治家だけでなく日本国民が「人道を尊重し、信頼に足るもの人々」なのかどうかということを覆すことになろう。

それでは、日本の名誉と信頼はどのように回復可能なのか?
「良心的に史実を究明し、研究成果を素直に認め、文明人に相応しい、いたわりの心と礼儀を以て犠牲者の苦しみに心を寄せる、それこそが肝心ではないか。嘘をつかず、つまらない弁解をせず、相手に新しい傷を負わせることをしない」努力によって、それははじめて可能になる。

4)ドイツとの協働:ドイツは強制労働・絶滅収容所、ナチの略奪など戦争犯罪の問題では成功を収めたが、慰安所(占領下含む)やレーベンスボルンなど戦時下の性暴力に関する態度は曖昧。だからこそ、今こそ、日独が蓄積してきた知識と知恵を共に生かし人道的な対策を協働すべきではないか。「ただし、急いだ方がいい。もう時間はあまり残されていない」。




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