覚え書:「異論反論 安倍首相が沖縄を訪問しました=佐藤優」、『毎日新聞』2013年02月20日(水)付。




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異論反論
安倍首相が沖縄を訪問しました
寄稿 佐藤優

「沖縄の主権」直ちに認めよ

 2日、安倍晋三首相が日帰りで沖縄を訪問し、仲井真弘多県知事と会談した。報道から判断すると、MV22オスプレイの沖縄配備強行問題、米開閉隊普天間飛行場辺野古(同県名護市)への移設問題について、首相と知事の見解は平行線だったようだ。ただし、中井真発言で少し気になる部分がある。
 <知事は普天間問題について「一日も早い移設返還をお願いした。県民には、なるべく県外移設してほしいという強い気持ちがある」と述べた。オスプレイについては「安全確保は当然だ。県民の不安が非常にあるので、不安の払しょくに力を入れてほしい」と求めた。今後の沖縄振興に向けては「日本の発展のために貢献できる。もうしばらく力添えいただきたい」と求めた>(2月2日「琉球新報」電子版)。普天間飛行場の移設について、知事が「なるべく県外移設してほしい」と、「なるべく」という留保をつけていることだ。外務官僚、防衛官僚は、この「なるべく」を突破口にして、知事に辺野古移設という「苦渋の選択」を迫っていくことになると思う。オスプレイについても「不安の払しょく」という知事の発言を利用し、運用改善によって問題解決が可能という論理を展開するであろう。
 しかし、中央政府の一方的な都合を沖縄に押しつけることはもはやできない。安倍首相の訪問を受けた翁長雄志・那覇市長の発言が重要だ。<(2日、翁長市長は)米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画や日米合意違反を繰り返し市街地上空を飛ぶオスプレイなどに触れ「首相は『誠心誠意ご理解を願いたい』と言うが、既定路線を歩んでいる」と指摘した。「懸念している事項について、僕らの理解を得られるような内容のある行動をしてほしい。論より証拠だ」と強調した。/辺野古移設に向けた公有水面埋め立て申請について、安倍首相が訪米前に申請しない考えを示したことには「タイミングを計っている感じだが、埋め立て申請をやると、政府は大きな試練に立たされると思う」と、沖縄が強い反感を示すとの認識を示した>(2月3日「琉球新報」)

県民大会実行委の建白書が
信頼回復の現実的なシナリオ

 翁長市長も仲井真知事も「沖縄の死活的利益にかかわる事柄は、沖縄人の同意なしに進めることはできない」と、「沖縄の主権」という視座から考え、行動している。1月28日、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行委員会の代表が安倍首相に手渡した建白書に記された<(1)オスプレイの配備を直ちに撤回すること。また嘉手納基地への特殊作戦用垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備計画を直ちに撤回すること(2)米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること>という要請に直ちに応じること。それが中央政府と沖縄の信頼を回復する現実的なシナリオと筆者は考える。
さとう・まさる 1960年生まれ。作家。元外務省主任分析官。「1944年に米軍が作成した沖縄関連の資料『民事ハンドブック』『琉球列島の沖縄人』を読んでいます。米軍がインテリジェンス(情報)の手法を用いて日本と沖縄の文壇を考えていたことがわかります。
    −−「異論反論 安倍首相が沖縄を訪問しました=佐藤優」、『毎日新聞』2013年02月20日(水)付。

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首相、仲井真知事と会談 「普天間」の辺野古移設へ理解要請
2013年2月2日

  安倍晋三首相は2日来県し、仲井真弘多知事と那覇市のホテルで会談した。知事は沖縄振興予算3001億円がついたことに謝意を示した上で、米軍普天間飛行場の県外移設とオスプレイ配備による県民の不安の払しょくを求めた。安倍首相は「普天間の固定化はあってはならない。米国との合意の中で進めたい」と、日米合意に従って辺野古移設を進める考えを示した。オスプレイについては「住民生活の影響や不安の払しょくに意を尽くしたい」と述べた。
 会談後、首相は記者団に対し、「訪米前の埋め立て申請は考えていない」と明言した。
 会談で首相は「沖縄の基地負担軽減は政権の基本方針だ」と強調。民主党政権で国と沖縄県の関係性が悪化したとし「この3年間で信頼関係が壊れた。信頼関係を構築したい」と述べた。嘉手納基地より南の基地返還について「統合計画の作成を加速させる」と答えた。
 知事は普天間問題について「1日も早い移設返還をお願いしたい。県民には、なるべく県外移設してほしいという強い気持ちがある」と述べた。オスプレイについては「安全確保は当然だ。県民の不安が非常にあるので、不安の払しょくに力を入れてほしい」と求めた。今後の沖縄振興に向けては「日本の発展のために貢献できる。もうしばらく力添えをいただきたい」と求めた。
 会談は冒頭のみ公開された。
    −−「首相、仲井真知事と会談 「普天間」の辺野古移設へ理解要請」、『琉球新報』2013年02月02日(土)電子版。

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http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-202136-storytopic-3.html

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首相来県 辺野古を堅持 訪米前埋め立て申請否定
2013年2月3日


 安倍晋三首相は2日、第2次安倍内閣発足後初めて来県し、仲井真弘多知事と那覇市内のホテルで会談した。知事は3001億円となった2013年度沖縄振興予算に謝意を示した上で、米軍普天間飛行場の県外移設を求めた。首相は「米国との合意の中で進めたい」と日米合意に沿って名護市辺野古移設を進める考えを示した。会談後、首相は記者団に対し、今月下旬の訪米前に辺野古沖の公有水面埋め立てを申請することについて「考えていない」と否定した。会談は冒頭のみ報道陣に公開された。首相と知事はその後別室に移り、約30分間2人で会談した。
 知事は、米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイについて「県民は非常に不安を持っている」と配備撤回を求めた。首相は「安全確保は当然だ。住民生活への影響や不安の払拭(ふっしょく)に意を尽くしたい。訓練等をなるべく県外に移すことにも努力したい」と答えた。嘉手納基地より南の米軍施設返還については「統合計画の作成を加速化させる」と調整を急ぐ考えを示した。
 首相は民主党政権が県との関係を悪化させたとの認識を示し「この3年の間に国と沖縄との信頼関係が壊れてしまった。われわれはまず信頼関係を構築することから始めたい」と強調した。
 首相は那覇空港第2滑走路増設事業の予算化と工期短縮をアピールし「何とか予算に盛り込むことができた。未来への投資であり大きな経済効果を生む。安倍政権の経済政策の柱にもなる」と経済効果に期待感を示した。沖縄科学技術大学院大学については「国の成長戦略の一つになる」と国の施策として推進する姿勢を示した。
 首相は知事との会談のほか航空自衛隊那覇基地沖縄科学技術大学院大学などを訪れ、宜野湾市の嘉数高台から普天間飛行場を視察した。同日夜に帰任した。
    −−「首相来県 辺野古を堅持 訪米前埋め立て申請否定」、『琉球新報』2013年2月3日(日)付電子版。

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