日記：あんときのデジカメ　KONICA MINOLTA　DiMAGE X1　2005年　「悪いカメラ」ではないけれども「残念なカメラ」

■期待した分、そのがっかりの強いカメラ
「期待感が強ければ強いほど、手ひどく裏切られた時に、人ははじめて希望する行為の愚かさを知る。ノリオが外出前に、手を洗うことを日課とするようになったのもその日の出来事がきっかけとなった」。。。

などと村上春樹の「教訓」風にはじめてしまう「あんときのデジカメ」でございます。今回取り上げるのは、コニカミノルタ（KONICA MINOLTA）最期のコンパクトデジタルカメラ「DiMAGE X1」。2005年8月に発売された屈曲光学系フラットズームのデジカメで、画質に拘った1/1.8インチセンサー、当時としては最高レベルの800万画素、そしてこのXシリーズでは初となる手ブレ補正機構「アンチシェイク」の搭載。期待を抱かずにはいられないとはこのことです。

■「悪いカメラ」ではないけれども「残念なカメラ」
5月に使いはじめたので、およそ3カ月ほど使ってみましたが、冒頭の「ニセ」村上春樹に従えば、「期待感が強ければ強いほど、手ひどく裏切られた時に、人ははじめて希望する行為の愚かさを知る」などとしたり顔したくはありませんが、端的に言及すると、見事に「期待を裏切られた」カメラでございます。最も、過剰な期待をマイナスしてこれまたヨイショとまでは言わなくても、「当時」のコンデジとしては、まあ、「よく写る」というのも実情ですが、撮影するための「系」ないしは「機構」、すなわち設定や、シャッターレリーズの軽さ重さ、そういったカメラの構造自体が、撮影の足を引っ張るカメラで、大型センサーや当時としてはトップクラスの画素数を「まったく生かしきれていない」ということに、撮影しながら、まさに「隔靴掻痒」。悪いカメラじゃないのに、ぜんぜん、良くもない……。そういうもんどりの繰り返しとでもいえばいいのでしょうか。

そう、「悪いカメラ」ではないけれども「残念なカメラ」なのであります（涙

■スペック的期待よりも、ある意味では、「使いやすさ」を優先させるのも悪いことではないのかしらん？
では、簡単にスペックをおさらい。830万画素撮像素子 1/1.8型原色CCD、レンズは35mmフィルム換算で37−111mm、ｆ値は、開放でF3.5とやや暗いものの、望遠端でF3.8と以外にも明るい。レンズユニットスイング手振れ補正と合わせて、全域で低速シャッターでも「粘る」ことが可能。コニカミノルタの手ぶれ補正「アンチシェイク」は、手ブレに対して、レンズとCCDを一体化したユニットで常に静止している状態を保つように反応＝動くことで手ブレを補正するシステムで、これが筐体の小型化をベストマッチしましたが、思った以上に、シャッターを切ると「揺れる」訳で、端的にその印象を表現すると、携帯電話のヴァイブレーションモードのような感。まあ、それなりに「補正」はされているので、驚くのは驚きます。

レンズは意外にも「10群12枚」と「贅沢」な仕様。高級機に採用されるGTを名乗るだけあってレンズ性能は非常に高いのだけど、「悪いカメラ」ではないけれども「残念なカメラ」の結果とでも言えばいいでしょうか。画像エンジン諸々とのミスマッチングゆえか、その性能が引き出されていないのも事実で、コントラストの激しい情景や逆光には弱く、2005年「時点」なのにISOの最高感度は200まで。最も、私自身は100でしか撮影はしないので、問題はないのだけど、全体的にバランスはよくありません。

筐体は、金属製（アルミニウム合金）で質感もよく、デザインもスタイリッシュでカッコイイ。しかしながら、本当に「残念なカメラ」というトホホですが、3カ月も使えば慣れるというのは恐ろしいものですけど、現在所有する同時代カメラは、富士フィルムのFinePix F11　とPentaxのOptio S5zがありますが、CCD諸々はX1よりは低スペックですし、もちろんマーケットも違いますが、使ってみると、「悪いカメラ」ではないけれども「残念なカメラ」であるX1よりは使いやすいので、デジタルカメラに関しては、スペック的期待よりも、ある意味では、「使いやすさ」を優先させるのも悪いことではないのかしらん？

以下、作例。ISO100。ホワイトバランスオート、露出補正なし。一部はシーンモードのマクロ撮影（撮影モード切替時での撮影は、露出など設定がすべてオートになる）。画像は3264×2448で保存。筐体はiPhone6sで撮影。